カイザー・ヴィルヘルム記念教会…2001年夏2010/03/05 22:17

 森 鴎外著
 「かのように」
 『阿部一族・舞姫』
 1968年、新潮文庫

  ドイツは内治の上では、全く宗教を異にしている北と南とを擣きくるめて、人心の帰嚮を繰って行かなくてはならないし、外交の上でも、いかに勢力を失墜しているとは云え、まだ深い根柢を持っているロオマ法王を計算の外に置くことは出来ない。それだからドイツの政治は、旧教の南ドイツを逆わないように抑えていて、北ドイツの新教の精神で、文化の進歩を謀って行かなくてはならない。それには君主が宗教上の、しっかりした基礎を持っていなくてはならない。その基礎が新教神学に置いてある。


 ローマからチューリヒ経由でベルリン入り。できるだけドイツ語を話そうとするが、タクシーの運転手の英語は完璧。乱暴なローマのタクシーの運転と対照的に、安全運転で、見所を説明してくれる。驚くほど紳士的。緑美しい公園、整然とした街並みも好印象。
 ホテルにチェックインして、一休みした後、夕暮れ時のベルリンの繁華街を歩く。一つ一つの建物が大きい。移動した直後だけに、ハードに感じる。その建物は突如現れる。異様な建物にギョッとさせられる。
 日本と同様、枢軸国ドイツは連合国の空襲に苦しめられた。この教会は、広島の原爆ドームのように戦争の記憶を風化させないため保存されている。1943年の空襲で破壊された。カイザー・ヴィルヘルム記念教会はプロテスタントの教会で19世紀末に完成した。その横に新しい教会が建設された。