龍山寺…1998年夏2010/03/19 21:46

  司馬遼太郎著
 『街道をゆく40<新装版>台湾紀行』
 2009年、朝日文庫

 台北の大繁昌をみると、たれもが思想家になる。ネオンの氾濫や車のひしめき、あるいは歩道の波立ちをみると、台湾の資本主義は少年のように元気にあふれている。いまのうちに、漢民族的資本主義のよきモデルを台湾でつくる必要があるのではないか。



 滞在していた台北のホテルから、タクシーで寺に向かう。このお寺はガジュマルにまつわる逸話がある。ある人が観音菩薩を持ってここにお参りし、ガジュマルの木にその像をぶら下げたところ、夜中に光を放ったという話。それにあやかって、寺が建立された
  やはり広東、台湾など気温の高い地域では、熱帯性の樹木が関わってくるのだろうか。後に紹介したいと思うが、広州の六榕寺もガジュマルと深い関係にある。宗教・新興に関する樹木は地域性と切り離せない。ブッダは菩提樹の下で悟りを得たというし、コーランにはナツメヤシという言葉が多く出てくる。


 龍山寺は福建省出身の人々によって建立された。台北市内では最古の寺院で、外国人も含めて多くの観光客が訪れる。多数の神様が祀られており、庶民生活に根差した信仰の拠点である。この界隈、蛇料理の店もあって、猥雑な雰囲気をかもし出しているが、入る気はおこらない。それに朝早くの拝観だったため、ほとんどの店はしまっていた。