シテ島のカフェ…1998年夏2010/04/20 21:12

  フランソワーズ・サガン著、河野万里子訳
 『悲しみよこんにちは』
 2009年、新潮文庫


 そのとき不意にアンヌの声がして、わたしは飛び上がりそうになった。
「セシル、食べるものは?」
「朝は飲みものだけでいいの。だって……」
「あと三キロは太らないと。見場をよくするためにはね。頬がこけてるし、あばら骨が見えるわよ。バターを塗ったパンを取っていらっしゃい」
 そんなものを押しつけないでとわたしがたのみ、アンヌがどうしても食べたほうがいいと理由を言いだそうとしたとき、父がおしゃれな水玉もようのガウン姿で現れた。



 シテ島のカフェでランチ。ここはノートルダム寺院をはじめ見所も多い場所。ここにも素敵なカフェがある。フランス語は勉強したことがないので、全く話せない。それでも、ガイドブックにあるフランス語を話したくなって、これを棒読みして、ミルクティーとハムサンドを注文する。何とか通じた。
 パンにハムをはさんだだけのシンプルなものだ。かたいのでナイフで切って食べる。フランスパンは自分でつくってみると分かるが、小麦粉、イースト菌、塩だけでつくることも多い。こうしたシンプルな食べ物だけに、本場のフランスパンはうまい。


 これは席から見た風景。みんなゆったりとお茶や軽食を楽しんでいる。日本でも最近はこうした屋外の席が見られるが、降雨量が多いせいか、いまひとつ普及しない。