プリンセス・ストリート・ガーデン…2008年夏2010/07/06 21:28

イアン・ランキン著、延原泰子他訳
「キャッスル・デンジャラス--リーバス警部の物語--」
『貧者の晩餐会』
2004年、早川書房

 ぜいぜいと荒い息を吐きながら、リーバスは小さな戸口を通って頂上へ出ると、しばらく立ち止まって息を鎮めた。目の前に広がる景色は、文句なくエジンバラ随一である。すぐ背後にはエジンバラ城があり、前方にはニュー・タウンのパノラマ、その先にはなだらかな下り坂となってフォースの入り江と続き、リーバスの生まれ故郷であるファイフが遠くにかすんでいる。さらにコルトン・ヒル……アーサーズ・シートの丘……そして城へと景色は一周して戻る。それは息を呑むほどの絶景であり、階段を上がったために息を切らしていなかったら、リーバスだって息を呑んだにちがいない。


 
 スコットランド。新市街と旧市街に分かれるエジンバラは魅惑的な街。ロイヤル・リンセス・ストリート・ガーデンを起点に、エジンバラは新市街と旧市街にわかれている。旧市街は石畳を中心とした狭い道が主で、スコットランドの重厚な歴史を感じさせる。他方、新市街は近代的な街並みが続くが、ただ新しいだけという軽薄さは感じられない。やはり、歴史や重みのあるたたずまいとなっている。

 エジンバラ城の下方に展開しているプリンセス・ストリート・ガーデンはエジンバラ城の堀を埋め 立てて、つくった公園。エジンバラ市民の憩いの公園である。芝生にそのまま座ってもいいし、ベンチも多い。この時期は観光客も多いが、地元の人たちもけっこういるようだ。
                                                                
 ロンドンにあるような巨大な公園ではないが、ゆったりできる。緑も多くて、美しい草花にも恵まれている。欧米の公園の良いところはベンチがたっぷりあること。それに比べると、日本の公園は訪問者にゆっくり滞在してもらうだけの十分なベンチ等がない。