シャンゼリゼ通り…1998年夏2010/07/09 21:40

ヘミングウェイ著
『移動祝祭日』
2009年、新潮文庫

 だが、パリはとても古い街であり、私たちはまだ若く、そこでは何一つ単純なものはなかったのである。たとえ、それが貧困であれ、突然転がり込む金であれ、月の光であれ、善悪であれ、あるいは月光を浴びてかたわらに横たわっている女の息遣いであれ。


 フーケという有名なカフェを紹介したことがあるが、今度はこのフーケから通りを見てみよう。そのフーケの一番いい席からシャンゼリゼ通りを見ると、こんな感じ。早朝だっただけに、まだ人気も少ない。夏の真っ最中だけに、多くのビジネスマンはバカンスに出かけているのかもしれない。フランス人やドイツ人が大きな荷物を持って、一箇所に長いこと滞在しているのを見ると羨ましくなる。こちらはいつも駆け足旅行。この日はパリを去る日だけに、名残惜しい気持ちになって、フーケで紅茶を飲む。