CIA(アメリカのエリート料理学校)を訪問(その4)…2007年秋~冬2011/06/03 19:50

ジュリア・チャイルド/アレックス・プルドーム 著、野口深雪 訳
『いつだってボナペティ!--料理家ジュリア・チャイルド自伝--』
2009年、中央公論社

 たとえばパイ生地をつくるのに、フランス産とアメリカ産の材料を使い比べてみると、恐ろしいことに、フランスの小麦粉で作った生地のほうがコシが強く、ほどよくほろっと砕けるように仕上げるためには、油脂を三分の一まで減らす必要があることが判明した。



  世界でも有数のワインの里だけに、ワインに関しての実習もしっかりしているとのこと。整然と並べられたワイングラスが美しい。この恵まれた環境で学んだ人たちは料理は勿論、素晴らしい美的センスも身につけることだろう。さて、CIA(The Culinary Institute of America)のレストランで昼食を食べようとしたが、時間が迫ってくる。世界の頂点に立つエリート料理学校にあるレストランだけに、悔しい思いをした。


 スケジュールが過密で時間がない。何しろアメリカ全土を東から西に横断していく研修だ。このカリフォルニアでもサンフランシスコにいったん着き、翌日にはサンタローザに移動し、ナパバレーを中心に見て、またサンフランシスコに戻るという強行日程だ。このレストランでの昼食は泣く泣く断念した。移動の車の中でハンバーガーを食べることとなった。小さな店の手作りハンバーガーもうまかったのだが。

エジンバラ大学(その1)…2008年夏2011/06/07 20:56

イアン・ランキン著、延原泰子他訳
『蹲る骨』
2001年、早川書房

 エジンバラは表面だけでは理解できない都市だという意見もある。真の感情や意図は隠れており、市民は見たところ健全で、街路は時間が止まったかのようだ。エジンバラを訪問する者は、市の原動力となっているものが何か、さっぱりわからないで終わるのだ。

 

 スコットランドのエジンバラ。外国で一番乗りこなすのが難しいのは路線バス。目的地はエジンバラ大学のとあるキャンパス。方向が分からなくなってしまう。逆方向かもしれない。
 ただ、このバスは市内を巡回しているようだ。だったら終点まで行って、戻ってくればいい。せっかく二階建てのバスに乗って、いい席を確保したのだから。こうなったら身を任せる。郊外の住宅地などもくまなく回る。小さな家に小さな庭。どの庭もきれいに手入れが行われている。イギリス人のガーデニング好きは有名だ。

エジンバラ大学(その2)…2008年夏2011/06/10 21:31

イアン・ランキン著、延原泰子他訳
『蹲る骨』
2001年、早川書房

 住宅金融組合はジョージ・ストリートにあった。シボーン・クラークがエジンバラに来たころ、ジョージ・ストリートは壮麗な建物の並ぶ活気のない、風の吹き抜けるゲットーという雰囲気だった。

 

 ようやくエジンバラ大学に到着。バス路線を間違えてしまったせいか、遠回りをしてしまったようだ。キャンパスもいくつかの地域に分かれている。訪問したのはThe King's Buildings。技術系の学部が多いところだ。当然のことだが、大学の売店で販売されている書籍は科学関係のものが多い。


 エジンバラ大学は文科系、理科系とともに世界のトップ校としての評判を有している。エジンバラはそれほど大きな都市ではないが、勉強するならこれくらいの規模がいいのかもしれない。


エジンバラ大学(その3)…2008年夏2011/06/14 20:24

チャールズ・ダーウィン(Charles Darwin)
『種の起源』(The Origin of Species by means of Natural Selection)

 気候は種の平均的な数を決定することにおいて重要な部分を果たすものであり、極端な寒冷と干ばつの周期的な時期は全ての調査においても最も効果的なものと思われる。(拙訳)


 
 エジンバラ大学は英国は勿論、世界的にも高い評価を得ている。アダム・スミスとも交流のあった哲学者のデイヴィッド・ヒューム、シャーロック・ホームズで有名なコナン・ドイル、進化論を唱えたダーウィンなどが卒業生にいる。推理作家のイアン・ランキンもこの大学の出。
 エジンバラにいて気がつくことだが、生命科学系の研究所の看板もよく見かける。そういえば、1996年にクローン技術で羊のドリーが誕生したロスリン研究所もエジンバラにある。

ダブリンのトリニティカレッジ(その1)…1997年夏2011/06/18 10:58

ジェイムズ・ジョイス著、柳瀬尚紀訳
『ダブリナーズ』 
2009年、新潮文庫

――トリニティ大学は知っているな?
――へい、と、馭者は言った。
――よし、トリニティ大学の前へどーんと着けてくれ、と、ブラウン氏。そっから先はまた言う。分ったな?
――へい、と、馭者は言った。
――トリニティ大学へまっすぐらにだぞ。
――かしこまりました、と、馭者は言った。

 

 香港経由でロンドンに滞在。さらにロンドンからアイルランドのダブリンへと飛ぶ。ダブリンは小さな首都なので、名所は徒歩で回ることができる。トリニティカレッジはダブリン大学の唯一のカレッジ。英国のように、複数のカレッジがユニバーシティを構成しているのとは事情が異なる。このカレッジもすぐに見つかる。ダブリンの中心にあり、まさにこの街のシンボルとも言える荘厳な建物である。


 トリニティとは三位一体の意味。イングランドのエリザベス1世の名前がついた大学である。国際的な水準も高く、理工系、文科系ともに評判が良い。アイルランドでは当然のこと、欧州では由緒ある大学である。キャンパスへも気楽に入ることができる。


  アイルランドのシンボルカラーが緑であるだけに、芝生がますますこの大学の魅力を高めているようだ。ダブリンでは、トリニティカレッジに限らず、芝生でのんびりできる空間が多い。街がこじんまりとしているだけに、のんびりした旅行を楽しむことができる。


ダブリンンのトリニティカレッジ(その2)…1997年夏2011/06/21 21:43

ジェイムズ・ジョイス著、柳瀬尚紀訳                      
『ダブリーナーズ』  
2009年、新潮文庫 

  再びいっしょになったとき、彼女が大学問題を話題にしたので、ゲイブリエルはいくらか気が楽になった。彼のブラウニング詩集の書評は、友人が見せてくれたのだという。それで秘密を知った。でもすごくいい書評だという。それから彼女は急に言った。

 
 
 伝統的な造りのキャンパス。校舎の中に入って、掲示板などを見る。アイルランのシンボルカラーはグリーンであるが、美しい芝生も大学の魅力を一層高めている。アイルランドで最も古い大学であり、ヨーロッパ全体でもトップクラスの学校である。ただ、気軽にキャンパスにも入れるし、親しみやすい場所ともいえる。


  ジョナサン・スウィフト、 エドマンド・バーク、 オスカー・ワイルド、 サミュエル・ベケットなど著名な思想家・哲学者・作家などが卒業生にいる。最近、ある哲学に関する本を読んでいたらジョージ・バークリーのことについても記述があった。バークリーといえば、「エッセ・エスト・ペルキピ」(存在することは知覚されることである)というフレーズで有名だ。このバークリーも卒業生である。

ブリガム・ヤング大学ハワイ校(その1)…2007年秋~冬2011/06/24 19:54

コナン・ドイル著、延原謙訳
『緋色の研究 』
1953年、新潮文庫

 ふたりの漂泊者、ジョン・ファリアおよびファリアと運命をともにし、今はその養女となっている少女ルーシイとは、モルモン信徒に加わって、ついにこの大移住地に至るまで行をともにした。



 これはハワイのオアフ島にあるブリガム・ヤング大学のキャンパス。校舎だけでなく宿舎もある。見学したパパイヤ畑で靴に泥がついたので、事務所で靴を洗うことにした。その事務所がこの大学に 隣接していた。しかも、ハワイでの行程を管理してくれたNPO団体に勤める日系人の方はこの大学の卒業生とのこと。
 ブリガム・ヤング大学はモルモン教徒のための大学である。モルモン教の本拠地であるユタ州のブリガム・ヤング大学ははるかに大きな規模らしい。教官についてはモルモン教徒ばかりではないとのこと。

ブリガム・ヤング大学ハワイ校(その2)…2007年秋~冬2011/06/28 20:31

イザベラ・バード著、近藤純夫訳
『イザベラ・バードのハワイ紀行』
平凡社、2005年

 このホスピタリティーこそが、当地の美しい景観や恵まれた気候以上に、ホノルルを楽園たらしめている。人々はみな親しく、互いに洗礼名で呼び交わしていることにわたしも気づいている。



    ブリガム・ヤング大学ハワイ校はモルモン教団がつくった大学。さて、日系人でも有名なモルモン教徒がいた。ワシントンDCにマサオカ・アソシエイツという企業があるが、その創設者であるマイク・マサオカ氏がそうだ。ちょうどこの時期、民主党、共和党ともに大統領候補を選んでいる最中だった。マサチューセッツ州の知事を勤めたミット・ロムニーも共和党の有力候補だった。「ロムニーを大統領に」というステッカーを貼った車をアメリカ本土で見かけた。
 ハワイでの研修の日程を管理してくれた日系人もモルモン教徒だった。絶対にアルコール、カフェインを口にしなかった。コーラも飲まないらしい。ハワイの日系人は信仰心に厚い。モルモン教に限らず、宗教活動を熱心にやっている人が多かった。日系人だけでなく、アメリカ人全体がそうだからかもしれない。
  ブリガム・ヤング大学ハワイ校はポリネシア諸島からの留学生を受けていている。ポリネシアンセンターでアルバイトしている人たちはその学生が多い。