チョベ国立公園のワニ…2004年夏(現地は冬)2011/08/02 20:54

デイヴィッド・リヴィングストン著、菅原清治訳
『世界探検全集8 アフリカ探検記』
河出書房新社、1977年

  それでも、私達は五月七日には、モアンバ河(南緯九度三八分、東経二○度一三分三四秒)に到着した。この河は幅が三○メートルあって、クイラ河、ロアンジェ河、チカパ河、ロアジマ河などのごとく鰐と河馬がすんでいた。



   ジンバブエのビクトリア滝から車で2時間ほど行ったところにボツワナのチョベ国立公園がある。チョベ川という豊かな水をたたえる川があって、象やカバをはじめ、多くの生き物が共存している。チョベ国立公園のサファリはボートに乗って川を巡るタイプのものと陸路でジープを使うものとがある。
   この公園は象がものすごく多いのだが、注意して見ていると他にもいろんなものがいる。大きなワニがいた。ワニは普段はじっとしているので、面白味には欠ける。それでもなかなか迫力のある存在だ。サファリにおける静かなひと時をワニを見つめながら過ごす。ワニはおそれられているが、賢かったり、神聖な生き物とみる地域もある。そういえば、ロシアの人形劇のチェブラーシュカに出てくるワニのゲーナもしっかりしている性格だ。

チョベ国立公園のライオン…2004年夏(現地は冬)2011/08/05 20:44

デイヴィッド・リヴィングストン著、菅原清治訳
『世界探検全集8 アフリカ探検記』
河出書房新社、1977年

    普通、ライオンは獰猛な動物であるとか、気高いところのある動物であるとかいわれているが、これまで私がこの動物について知ったところでは、そのようなところをこの動物に見出だすことができなかった。

 

   ボツワナのチョベ国立公園。前日のボートサファリに続き、早朝からジープサファリに出かける。象で有名な公園で、しかも象は体が大きいので見失うこともな い。それに比べると、他の動物は小さくて、数も少ないので、目を凝らして観察する必要がある。ライオンがいた。かなり遠くの距離にいたが、ライオンを見られたことは嬉しかった。

 
 アフリカに来て、百獣の王を見ないことには損した気分になる。ライオンたちはのんびりしていた。いつも狩をしているわけではないか ら、当然だろう。かなり遠くにいたので、うまく写真におさめることができなかったが、ライオンのいるところに焦点をあててみると、こんな感じになる。お腹をこちらに向けて寝そべっている雌ライオンもいる。
 


チョベ国立公園のキリン…2004年夏(現地は冬)2011/08/09 21:00

チャールズ・ダーウィン(Charles Darwin)
『種の起源』(The Origin of Species by means of Natural Selection)

  キリンは、その伸びた身長、極めて細長い首、前部の脚、頭と舌による構造全体が木の高い枝を見回すことに見事に適応している。キリンは同じ国に生息する他の有蹄類や、偶蹄類の動物の手の届かないところを超えて食物を得ることができる。そして、このことは欠乏時期にキリンにとって大きな利点となるはずだ。(拙訳)



    ボツワナのチョベ国立公園。早朝からのジープによるサファリもだいたい終わりに近づいた頃、そいつは現れた。キリンだ。一瞬の間しか見えなかったが、こちらを向いてくれ た。くよくよと思い悩むこともなく、マイペースで生きているという感じだった。キリンくらい大きくなると、ライオンに襲われることもないのだろうか。それ にしても世の中にこんなに背の高い生き物がいることが不思議だ。キリンから見る世の中というのはどんな光景だろうか。地上は遥か遠くで、高い木の枝が身近 な世界だろうか。

ザンベジ川の象…2004年夏(現地は冬)2011/08/12 20:00

デイヴィッド・リヴィングストン著、菅原清治訳
『世界探検全集8 アフリカ探検記』
河出書房新社、1977年

 私達が歩いている道は、ヴィクトリア瀑布の大きな裂け目ができる前にザンベジ河が流れていた、大昔の河床の高い岸に沿うて通じているように思われた。



 成田から32時間かけてジンバブエのビクトリア滝にやってきた。心身ともに疲れきっているが、到着してから間もなく、ザンベジ川のクルーズに出かける。はじめてのアフリカ。そしてこのアフリカの地でのはじめての行動がザンベジの川下りとなった。
 
 
  川の対岸に生い茂る森林。その森林の中で動くものが見えた。一頭の象である。アフリカで見たはじめての象にも感動した。実は、後からチョベ国立公園でこれでもかというほど象に遭遇するのだが。ホテルの周辺にも象に注意という注意書きがあった。このあたりは世界の中でも有数の象の生息地だ。

 
  象は一頭だけだったが、他の象たちは森林の奥にいたのだろうか。やがて日が暮れ、夕日に映える美しいザンベジ川の光景にも魅惑されることとなる。


チョベ国立公園のバッファロー…2004年夏(現地は冬)2011/08/16 08:28

亀井俊介、 川本 皓嗣編
『アメリカ名詩選』
1993年、岩波文庫

ウ゛ェイチェル・リンゼイ
「花を食うバッファロー」

むかしむかしの春の日に
花を食うバッファローが闊歩した
野原に機関車が歌うたい、
草原の花は身を匿す。



    ボツワナのチョベ国立公園でのジープサファリ。一頭のバッファローが見えた。バッファローというと大群で行動するというイメージが強いだけに、こうした単独行動は予想外だった。観光ガイドの話では、もともとツガイだったのに、雌がライオンに食われて、今は雄の一頭になってしまったとのこと。悲しい話である。そうした話を聞いてしまうと、バッファローの表情も哀しみに満ちたものに見えてくる。精神的ショックが大きかったせいか、ガリガリに痩せている。バッファローというとライオンと互角に戦うか、撃退する力がありそうだが、百獣の王に襲われたら、被害者になってしまうのか。それにしても、このチョベ国立公園にはいろんな動物がいる。


チョベ国立公園の象(その1)…2004年夏(現地は冬)2011/08/19 19:48

デイヴィッド・リヴィングストン著、菅原清治訳
『世界探検全集8 アフリカ探検記』
河出書房新社、1977年

  親象も子も耳をひろげて聞いていたが、やがて人々が近づいて行くと、水溜りを去って行った。子の方は谷の端に走って行ったが、そこに人々がいるのを見て親象のところに帰ってきた。


 チョベ国立公園といえば象。最初に、ビクトリア滝に滞在して、ザンベジ川クルーズで象を一頭見かけた。これだけでも感動したが、このチョベ国立公園にはとにかく多くの象がいる。チョベ川という豊富な水をたたえた川はあるし、象が住むには最適の環境らしい。


 といっても、国立公園という名の通り、野生の動物を保護するためには相当な労力が必要となっている。かなり近くで象を見ることができる。インド象に比べるとアフリカ象は気が荒いというステレオタイプの印象ができてしまっているが、ここまで近づけるということはそんなに獰猛な生き物ではないことの証左だろう。


チョベ国立公園の象(その2)…2004年夏(現地は冬)2011/08/23 20:36

デイヴィッド・リヴィングストン著、菅原清治訳
『世界探検全集8 アフリカ探検記』
河出書房新社、1977年

   私達は、多くの象が、モコロンガと呼ばれる紫色の汁があっておいしい味のする黒い色をしたすもものような果物を食べているのを見た。この地方を通じて、この果物はまことにたくさんなっているので、土人も一生懸命に食べる。


 チョベ国立公園は象にとって天国だ。世界の中でも有数の象の生息地である。象は集団で行動する。大量の象の群れが近づいてくると、ちょっと怖い気がするが、全く危害を加えない。多くの観光客が訪れているだけに、よそ者にもなれているのだろうか。早朝はとても寒く、日が昇ってくるにしたがって気温が上がってくる。


 象には熊のような毛皮なるものがないようだが、寒い時期も平気なのだろうか。水も草も豊富なチョベ国立公園では象にとって日々の生活も快適なのだろう。のんびりと暮らしている象の群れをみていると日本における日常生活をしばし忘れることができる。ボートもかなり象に近づいていく。象は船をひっくり返すような悪さはしない。


チョベ国立公園の象(その3)…2004年夏(現地は冬)2011/08/26 21:39

デイヴィッド・リヴィングストン著、菅原清治訳
『世界探検全集8 アフリカ探検記』
河出書房新社、1977年

   最初に放った槍で、象の側腹は血で赤くなり、自分の命だけは助かろうとして逃げて行く象は、子のことなど忘れたかのように思われた。子の方は水の中にかくれたがたちまち殺されてしまった。


 象の死骸があった。子供の象だ。ほとんど骨しか残っていないようだ。ハゲタカが群がって、象の死骸を餌にしている。ハゲタカに襲われたのではなく、別の原因で亡くなって、後からハゲタカがやってきたのだろう。それにしても自然界は不思議に満ちている。植物を食べる動物もいれば、動物を食べる動物もいる。ハイエナやハゲタカのように死骸や他の動物が狩った獲物のおこぼれを糧とするものもいる。このボツナワの公園でも毎日ドラマが繰り広げられている。食うものもいれば、食われるものもいる。自然の掟は厳しいが、それなりの秩序ができあがっている。


チョベ国立公園の象(その4)…2004年夏(現地は冬)2011/08/30 21:37

イソップ著、中務哲郎訳
『イソップ寓話集』
岩波文庫、1999年

311 ゼウスと動物と人間
 人間は皆、理性的存在として神から名誉を与えられているのに、その名誉に気づかぬばかりか、感覚も理性も持たぬ動物を羨む者もいる、ということ。


 チョベ国立公園の象。ずっと遠くに姿が見える。左側に一頭。右側のかなり遠くに何頭かの象がいる。近くで見る象も迫力があったが、こうやって遠くから見る象もなかなか良かった。雄大な自然と一体となった感じがする。緑と川に恵まれ、象にとっては天国だ。象は一日に200キロから300キロの草を食べなくては生きていけない。象の食糧がたっぷりある公園だ。それにしても、チョベ国立公園は広い。ボートやジープでサファリをすることになるが、それぞれに味わいが違って、面白い。