サンディエゴ動物園の白クマ…1983年夏2011/09/30 20:37

岩合光昭著
『極北の大地から--ホッキョクグマを撮る--』
日本放送出版協会、2003年
 
 カメラを少し後方へと下げる。クマはカメラに鼻先をぶつける勢いだ。ファインダーをのぞくと、超ドアップのホッキョクグマの顔があった。こんなに近づいたのははじめてだ。目と目が合い、僕は驚く。クマは、おまえを食いたいという目をしていた。おまえなんかに喰われたくないよと思った瞬間、僕は恐いと感じた。三○年間野生動物を撮ってきて、一度も恐い思いはしなかったのに。ホッキョクグマがはじめてだった。



 サンディエゴ動物園で白クマを見た。ここは地中海性気候で日中や日のあたる場所はとても暑くなるが、夜や日陰は涼しくなるので、白クマも日本の動物園にいるよりは快適だろうか。この動物園は大きな公園の中にあり、動物園だけでも世界最大級というから公園全体の大きさはもっと壮大なスケールだといえる。


 普通、海外まで行って、わざわざ動物園というのは定番ではないが、このサンディエゴ動物園は観光コースの主要メニューに入れてもおかしくはない。クレアモントという小さな街に滞在していたが、その近くにはロスアンジェルス、サンディエゴがあり、研修の合間をぬって、いろんなところに連れて行ってもらい、楽しい思いをした。


   園内を走っているバスは広い敷地を効率的に回ってくれる。動物園は大人でも子供でも楽しめる場所だ。 それに現地の言葉がわからなくても過ごせるから、我々も含めて外国から参加している研修生にとっても快適だ。


 案内する方も細かい説明は要らないから、ほっとできるかもしれない。日本も含めて、アジア、太平洋地域から来て、クレアモントで研修を受けていたメンバーは満足げだ。いろんな動物を見て、楽しむことができた。