バッキンガム宮殿(その5)…2008年夏2012/06/12 21:28

C・C・ベニスン著、宮脇裕子訳
『バッキンガム宮殿の殺人』
1998年、ハヤカワ文庫

「お茶はどう?」わたしの向かい側の、テーブルに近い方の長椅子に腰を下ろしながら、女王はいった。
「まあ」
 驚きと感激の入り交じった表情が顔に出たのだろう。女王は、二つあるカップのうちの一つにミルクの容器を傾け、こちらに顔を向けて、入れるかどうかを目で尋ねた



 バッキンガム宮殿は、エリザベス女王陛下が生活をされ、執務をされている公的な場所である。さらに王室庁の事務本部としても機能しているとのこと。世界中いたるところに宮殿なるものはけっこうあるが、実際の宮殿として機能しているところは少ない。ロシアの宮殿も紹介したが、革命によって王室は潰され、皇帝一族は粛清されてしまった。ハプスブルク家の影響の強かった神聖ローマ帝国、その後のオーストリア帝国もなくなってしまった。


 先日、エリザベス女王の戴冠60周年を迎え、英国では盛大にお祝いがなされた。日本からは天皇皇后両陛下が即位60周年を記念した午さん会に出席されている。そう言えば、皇太子殿下もオックスフォード大学マートンカレッジに留学されているし、日英の王室・皇室どうしのお付き合いの深さをあらためて認識することができる。