オルセー美術館(その12)<マネの『草上の昼食』>…1998年夏2013/05/17 20:07

エミール・ゾラ著、清水正和訳
『制作(上)』
岩波文庫、1999年

   だが彼は、樹木と、光があふれる森の空間、そしてとくに草の上に横たわる裸の女には、われながら満足をおぼえるのだった。まるで自分の知らない他の画家、しかも自分よりはるかにすぐれた才能の持ち主が描いたのではないかと思うほど、生命の輝きに満ちた姿だった。



   これは当時、世間を騒がせたマネの『草上のピクニック』。マネ、モネと名前が紛らわしいが、マネがモネの師匠であった。パリの芸術界を震撼させたこの作品は今では世界的な遺産となった。確かに、素人目には、何が言いたいのかよくわからない作品だが、世間をあっと言わせる効果は大きかったに違いない。絵画芸術において、新時代を切りひらいた一作品と言えよう。