ニューヨークのクルーズ…1997年秋(その3)2014/10/30 21:14

佐野洋子著
『そうはいかない』
小学舘、2010年

〈ニューヨーク・ニューヨーク〉
   背の高い、鉄を磨いたようにひきしまった体の黒人が入って来た。皮ジャンパーの下に真白なTシャツを着て、長い真っすぐに伸びた脚をジーンズにつっこんでいる。奥の席に座った。



   ニューヨークは誰にとっても憧れの街である。14年前に初めて訪問した時は、アメリカの都市なのに密集してて、東京から来ても違和感のない街だなという印象を持った。細い道路が碁盤の目のように整備されていて、マンハッタンの中心地はけっこう狭い。その分、土地の価値はとほうもなく高い。
   交通渋滞もけっこうあり、アポの時間に遅れるのではないかと冷や冷やする瞬間もあった。そんな仕事のスケジュールは全部終えて、自由な時間を過ごすことができた。ナイトクルーズでは摩天楼が美しい夜景を楽しむことができる。