ニューヨークのクルーズ…1997年秋(その4)2014/11/01 06:42

佐野洋子著
『そうはいかない』
小学舘、2010年

〈ニューヨーク・ニューヨーク〉
   この間息子が言っていた。
「母さん、日本人って外国に行くと馬鹿にされてると思わない?」
「思う」



   この時も酔い止めの薬を飲んでいた。飲むとすぐに、睡魔がやってくるという効果がある。ボルチモア船上視察の時も飲んだが、その後でメモを取るのがつらかった。眠くて眠くて仕方がなかった。
   このクルーズは仕事から離れたプライベートという位置づけだったので、気兼ねなく酔い止めの薬を飲むことができた。テーブルに座ったまま、眠ってしまった。その調査の仕事の疲れがあったことも主な原因だ。翌朝起きると、船の揺れが猛烈に襲ってきた。