ローマ地下鉄(その3)…2001年夏2014/04/22 20:36

海野弘編
『モダン都市文学Ⅸ 異国都市物語』
平凡社、1991年

 中山巍 「ローマ 碧空・燕・藤の花」
 今日ではイタリーでないと一寸都会には見受けられぬ無蓋の乗用馬車が広場を横切る。艶麗なシニョリータがコケチッシュな後姿を見せる。



 ローマの地下鉄に乗っていると、突然止まってしまった。結局は、駅でしばらく待つことになる。旅行を終えて、イギリスのヒースロー空港に行く途中に地下鉄が止まったことがあるし、こういうハプニングは珍しくない。イタリアは原子力発電をやめてしまったせいもあるのか、電力の供給など不安定な感じがした。
   車両もかなり古かった。遺跡が多いため、地下鉄を掘れないところも結構あるようだ。結局、すぐ再開して、無事に目的地に行くことができた。
   小銭がなくて、切符を買えない時もあった。重たくはなるが、海外に行った時は、できるだけ小銭がたまるようなお金を使い方をすると便利だ。それにしても、日本の自動販売機ほど優れたものはない。


ローマ地下鉄(その1)…2001年夏2014/04/17 22:22

海野弘編
『モダン都市文学Ⅸ 異国都市物語』
平凡社、1991年

 中山巍 「ローマ 碧空・燕・藤の花」
 私は独りフォロ・マノを歩き廻り疲れた体をくち残った土台石の上に休めた。名も忘れたイタリー烟草をふかし乍ら冷い石塊の上に仰臥して見た空位深く澄んだ濃い美しさをかつて見たことがない。



 ローマには夜遅く着いた。乱暴なタクシーの運転手、夜に映える美しいローマの光景。朝がやってきて明るくなると、最初の印象とは違う様相の街になる。古代遺跡を守るために、無制限な都市開発は行われていない。パリ、ロンドンなどに比べると、狭小な印象がある。
   さて、ローマでも地下鉄を利用する。切符を自動販売機で買おうとしたが、日本の機械のようにどんなお札でも受け入れるわけではない。人間から買うこととした。

ローマで立ち食いピザ…2001年夏2012/11/30 21:29

ゲーテ著、高木久雄 訳
『ゲーテ全集 第11巻』
潮出版社、1979年

<イタリア紀行>
   体の具合がじつにいい。天候は、ローマ人の言い方にしたがえば、不良である。毎日、多少とも雨をともなうシロッコが吹く。しかしこの天候をぼくは不愉快とは思わぬ。ドイツの夏の雨もようの日々とはちがって、暖かだからだ。



    ローマにやってきた。パリ、ベルリン、モスクワなど欧州の大都市に比べると道が狭くて、こじんまりしている。帝政ローマ時代の遺跡や街並みを保存しているから、こうなるのだろうか。ローマには夜に入ったが、幻想的な雰囲気が良かった。タクシーの運転手は乱暴で、携帯電話でずっと話していて、怖かったが。カフェもパリに比べるとゆったりした感じがない。ある日の昼は立ち食いピザで済ます。車でお店を出している。こうしたピザやジェラートだけでお腹いっぱいになる。