午前のヘルシンキを歩く…2013年夏(その26) ― 2017/05/22 08:48
午前のヘルシンキを歩く…2013年夏(その25) ― 2017/05/21 06:08
午前のヘルシンキを歩く…2013年夏(その24) ― 2017/05/20 05:38
午前のヘルシンキを歩く…2013年夏(その22) ― 2017/05/18 08:56
午前のヘルシンキを歩く…2013年夏(その21) ― 2017/05/17 16:11
午前のヘルシンキを歩く…2013年夏(その20) ― 2017/05/16 08:44
午前のヘルシンキを歩く…2013年夏(その19) ― 2017/05/15 08:43
タリン(エストニア)旅情…2013年夏(その62) ― 2016/05/04 06:09
チャガルチ市場…2002年夏 ― 2010/10/13 00:36
伊藤整他編
『日本現代文学全集〈第95〉織田作之助・田中英光・原民喜集』
1966年、講談社
織田 作之助
「勸善懲惡」
さて、お千鶴を道連れに夜逃げをきめこんだ丹造は、流れ流れて故國の月をあとに見ながら、朝鮮の釜山に着いた。
馴れぬ風土の寒風はひとしほさすらひの身に沁み渡り、うたた脾肉の歎に耐へないのであつたが、これも身から出た錆と思へば、落魄の身の誰を怨まん者もなく、南京蟲と虱に惱まされ、濁酒と唐辛子を舐めづりながら、溫突から溫突へと放浪した。
プサン(釜山)は近い。成田空港までのリムジンバスに乗っている時間と同じくらいの飛行時間で、成田からプサンに飛ぶ。
ソウルに比べるとちょっと小さいが、プサンも立派な大都市。プサンは下関と直結するフェリーでも有名だし、漁港としても韓国一の水揚げを誇る。
新鮮な魚を味わえる都市であり、チャガルチ市場に生きのいい魚介類が運ばれてくる。プサン市民の胃袋をあずかる市場であり、プサン一番の観光地といえる。あと一か月ちょっともすればアジア競技大会が控えているため、警備が厳重になっている。
『日本現代文学全集〈第95〉織田作之助・田中英光・原民喜集』
1966年、講談社
織田 作之助
「勸善懲惡」
さて、お千鶴を道連れに夜逃げをきめこんだ丹造は、流れ流れて故國の月をあとに見ながら、朝鮮の釜山に着いた。
馴れぬ風土の寒風はひとしほさすらひの身に沁み渡り、うたた脾肉の歎に耐へないのであつたが、これも身から出た錆と思へば、落魄の身の誰を怨まん者もなく、南京蟲と虱に惱まされ、濁酒と唐辛子を舐めづりながら、溫突から溫突へと放浪した。
プサン(釜山)は近い。成田空港までのリムジンバスに乗っている時間と同じくらいの飛行時間で、成田からプサンに飛ぶ。
ソウルに比べるとちょっと小さいが、プサンも立派な大都市。プサンは下関と直結するフェリーでも有名だし、漁港としても韓国一の水揚げを誇る。
新鮮な魚を味わえる都市であり、チャガルチ市場に生きのいい魚介類が運ばれてくる。プサン市民の胃袋をあずかる市場であり、プサン一番の観光地といえる。あと一か月ちょっともすればアジア競技大会が控えているため、警備が厳重になっている。
地下鉄の駅からも近くて、場所も分かりやすかった。チャガルチ市場を歩く。こうした市場は見ていても飽きることがない。韓国というと焼肉のイメージが強くて、韓国人は肉ばかり食べている印象を持つ人もいるが、日本人と同様にけっこうな魚好きでもある。
南大門市場…2001年春 ― 2010/10/08 22:15
ヤン・グィジャ 著、中野宣子訳
『ソウル・スケッチブック』
1997年、木犀社
それだけではない。彼は、もともと、こまごましたかわいい物が好きなので、季節が変わるたびに、室内をセンスのよい趣のあるもので飾りたてる。なにしろ彼 は、美的センスが抜群なのだ。家族の服も、南大門市場にみずから出向いていって買ってくるほどだ。妻名は、毎朝、そんな夫が選んだ服を着て出勤する。内情 を知らない人たちは、彼女のファッションセンスがすばらしいと誉めちぎるのである。
当然、その夫は自分を装うことも怠らない。たとえば、引っ越すようなことがあると、その前日にわざわざ南大門市場まで行って引っ越しに適した服を買うような入、そんな人が、まさに私の後輩の夫なのである。
『ソウル・スケッチブック』
1997年、木犀社
それだけではない。彼は、もともと、こまごましたかわいい物が好きなので、季節が変わるたびに、室内をセンスのよい趣のあるもので飾りたてる。なにしろ彼 は、美的センスが抜群なのだ。家族の服も、南大門市場にみずから出向いていって買ってくるほどだ。妻名は、毎朝、そんな夫が選んだ服を着て出勤する。内情 を知らない人たちは、彼女のファッションセンスがすばらしいと誉めちぎるのである。
当然、その夫は自分を装うことも怠らない。たとえば、引っ越すようなことがあると、その前日にわざわざ南大門市場まで行って引っ越しに適した服を買うような入、そんな人が、まさに私の後輩の夫なのである。
ソウルのシンボルである南大門から歩いて数分の距離。地元の人の生活にとって欠かせない、さらに観光客にとっても重要な見どころとなっている。ここまで大規模な市場は他ではなかなか見られない。眼鏡、衣類、食料、薬品などあまたの店が乱立し、最高の賑わいを見せている。お客さんの数も多い。地元民、海外からの観光客が熱気の中で様々な商品を物色している。疲れた人が元気をもらえる場所でもある。
韓国語には漢語も多いが、極力ハングル文字を使う流れが定着して久しい。「節約市場」という文字が見える。バーゲンセールという意味なのか、それとも市場全体が安いという意味なのかはわからない。ここは衣服類が多い場所だ。前回紹介した女人街とも雰囲気が似ている。でも、南大門市場の方がはるかにスケールは大きい。
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