タワーブリッジ(その2)…1997年夏2010/02/21 09:22

 夏目漱石著 
 「倫敦塔」
 『倫敦塔・幻影の盾』  
 1952年、新潮文庫

 帆懸舟が一隻塔の下を行く。風なき河に帆をあやつるのだから不規則な三角形の白き翼がいつ迄も同じ所に停って居るようである。伝馬の大きいのが二艘上って来る。只一人の船頭が艫に立って艪を漕ぐ、これも殆ど動かない。塔橋の欄干のあたりには白き影がちらちらする、大方鴎であろう。見渡した処凡ての物が静かである。物憂げに見える、眠って居る、皆過去の感じである。



 タワーブリッジに向かって歩く。橋は歩いても、渡れるようだ。天気は快晴。ダブリンを観光して、またロンドンに戻ってきたので、この街が懐かしく感じられる。こじんまりしたダブリンも良かったが、大都市ロンドンは見所も多く、やっぱり魅力的だ。
 タワーブリッジは歩道もあって、ゆったり歩けるようになっている。下を見下ろすと、テムズ川を観光客を乗せた船が航行している。天気は快晴。絶好の観光日和だ。


 観光客がおおぜい歩いている。人と車が橋を渡る。名物の二階建てバスも橋を通る。道はあまり広くないので、制限速度は低くおさえられている。人間も自動車もゆったりしたリズムで移動する。水色を基調とするケーブルが風景に溶け込んでいる。