チャガルチ市場…2002年夏2010/10/13 00:36

伊藤整他編
『日本現代文学全集〈第95〉織田作之助・田中英光・原民喜集』
 1966年、講談社

織田 作之助
「勸善懲惡」
 さて、お千鶴を道連れに夜逃げをきめこんだ丹造は、流れ流れて故國の月をあとに見ながら、朝鮮の釜山に着いた。
 馴れぬ風土の寒風はひとしほさすらひの身に沁み渡り、うたた脾肉の歎に耐へないのであつたが、これも身から出た錆と思へば、落魄の身の誰を怨まん者もなく、南京蟲と虱に惱まされ、濁酒と唐辛子を舐めづりながら、溫突から溫突へと放浪した。



 プサン(釜山)は近い。成田空港までのリムジンバスに乗っている時間と同じくらいの飛行時間で、成田からプサンに飛ぶ。
 ソウルに比べるとちょっと小さいが、プサンも立派な大都市。プサンは下関と直結するフェリーでも有名だし、漁港としても韓国一の水揚げを誇る。
 新鮮な魚を味わえる都市であり、チャガルチ市場に生きのいい魚介類が運ばれてくる。プサン市民の胃袋をあずかる市場であり、プサン一番の観光地といえる。あと一か月ちょっともすればアジア競技大会が控えているため、警備が厳重になっている。


 地下鉄の駅からも近くて、場所も分かりやすかった。チャガルチ市場を歩く。こうした市場は見ていても飽きることがない。韓国というと焼肉のイメージが強くて、韓国人は肉ばかり食べている印象を持つ人もいるが、日本人と同様にけっこうな魚好きでもある。