ホノルルの雨…2007年秋~冬2012/07/06 20:58

よしもとばなな著
『まぼろしハワイ』
2010年、幻冬舎文庫

<姉さんと僕>
 アラモアナで買ったきれいな花柄の服に着替えた姉さんと、帰りにえぞ菊に行った。
「なんで僕たちハワイに来てまでえぞ菊なんだろう。」
 僕はラーメンをすすりながらそう言った。
「でも、なんかほっとする。もう肉とか焼いた魚とかポキとか固いパンとか柔らかすぎるパンとか、たくさんよね。」
 姉さんは言った。



 以前ホノルルは真夏に来た。常夏の国を実感した。一年中温暖な気候なのだと思っていた。今回は12月、サンフランシスコからホノルル入り。温暖なサンフランシスコは快適だったが、ホノルルはもっと温暖だろうと期待していた。常夏の国だから。
 ところがホノルルに着いたら、まるで台風みたいな天気。なんだか別の所に来た雰囲気だった。常夏の国じゃなかったのかと思ってしまった。でも、半袖半ズボンの人は多い。これじゃちょっと寒いと思われたが。
 雨は降ったり、やんだり。でも、もう30日間連続で雨が降っていると現地の人は嘆いていた。ホノルルマラソンも間近な季節だ。以前は、常夏の国だから冬もみんなビーチに出ていると思っていたが、とてもそうはいかない。海は荒れているし。パパイヤ畑を訪問した時は、土が靴にびっしり付いて往生した。粘土質なのだろうか。雨のせいで、大量の土が数センチの厚さでつく。鉄下駄を履いているように重たくなった。
 アラモアナショッピングセンターにある高級デパートのニーマンマーカスでランチを食べて、少し時間があったので、海の方に歩いてみた。ちょうど雨もやんでいたのだが、やっぱり強い雨が降ってきた。あわてて、ショッピングセンターに引き返す。