サハリン州立美術館(その2)…2012年夏2013/10/24 20:04

森林太郎著
『鷗外選集 第15巻』 
岩波書店、1980年

<樺太脱獄記 コロレンコ>
   今宵丁度汽船が闇の空へ花火を散らして、波を破つて進んで行き、廊下では番兵が小銃を杖について転寝をしてをり、例の薄暗いランプの火が絶え絶えに廊下から差し込んでゐる時、その格子の奥では沈黙の内に一悲劇があつた。それは囚人仲間で密告者を処分したのである。 
 

   あわただしい中でセットした旅行なので、ガイドブックなどはあまり読んでなかった。2010年の夏に行こうとしたが、仕事の関係で難しくなった。それから2年後、なんとか短い夏休みがとれた。ユジノサハリンスクの見どころもよく分からなかった。気ままに街を散歩する。そして、美術館にたどり着いた。
   最初はくいつかの絵が飾ってあるコーナーへ。必ずしも有名な芸術家の作品ではなさそうだ。一般市民の作品もあるのだろうか。それでもロシア的な題材が多くて、極東のはずれとはいえ、ロシアにいることを実感する。モクスワなどからすると、ユジノサハリンスクはまったく異国くらいの位置なのかもしれない。イコンだのロシア寺院などに関する作品が見られた。