瀋陽地下鉄(その9)…2014年春2014/07/15 20:16

浅田次郎著
『マンチュリアン・リポート』
2013年、講談社文庫

   列車は満州の草原を、相変わらず十五マイルか二十マイルの速度で走り続けた。古い客車の電灯には水晶のグローブがかかっていて、ほのかなアルコール・ランプの光と影とを、単彩の万華鏡のように散らしていた。



   日本の地下鉄と同様に車内のパネルに次の駅が示される。扉の開く側にはランプが点灯する。ホームでは次の地下鉄がどのくらいで来るかも表示されている。
   中街の駅に到着した。繁華街だけに出入口もたくさんある。何となく賑やかそうな名前の表示があり、多くの人が歩いていく方向に進んでみた。その出口から地上に出ると、活気のある繁華街に出た。