カリフォルニアのワイナリー(ソノマ・ナパ)…2007年秋~冬(その1)2015/06/02 08:58

ジャネット・デイリー著者、矢倉尚子訳
『愛は危ないワインの香り』
集英社文庫、1998年

   ぶどう畑は八月の太陽に焼きつけられ、整然と列をなしながら、ごつごつした山肌に蔓を這わせていた。


   ワシントンDC、セントルイスでの日程を終え、その後サンフランシスコでいったん泊まって、それからカリフォルニアの有数のワイナリーのあるところに行く。サンフランシスコ空港まで行って、そこからリムジンバスに乗った。サンタローザに到着する。そこに住んでいる人が案内してくれる。サンタローザは典型的な中流階級が多く住む都市で、カリフォルニア州ソノマ郡にある。



カリフォルニアのワイナリー(ソノマ・ナパ)…2007年秋~冬(その2)2015/06/04 09:10

ジャネット・デイリー著者、矢倉尚子訳
『愛は危ないワインの香り』
集英社文庫、1998年

   数分のうちに、車は五番街の高級な一角に着いた。


   カリフォルニア州の有名なワインの産地であるソノマ郡のワイナリーを回る。サンタローザに住んでいる女性が車で案内してくれる。年金生活に入っているが、外国人などを案内するボランティアをしている方だ。多くのアメリカ人がNPO活動に熱心に取り組んでいることには関心させられる。まずベンジンガーというワイナリーを見る。カリフォルニアは環境保護にうるさい州だが、このワイナリーも環境を大切にしている。


カリフォルニアのワイナリー(ソノマ・ナパ)…2007年秋~冬(その3)2015/06/06 06:13

ジャネット・デイリー著者、矢倉尚子訳
『愛は危ないワインの香り』
集英社文庫、1998年

   身を低くかがめ、ぶどうの若木を目隠しに使いながら、サムはラモーンを追いこして前に出た。


   こういうワイナリーを見るのは初めてだった。ぶどう畑とお客さんがワインを飲んだりする建物が敷地内にある。ソノマ郡はけっこう起伏に富んだ地域である。”Benziger Family Winery”という名前だから家族経営なのだろう。こういう冬の日はいいが、夏の収穫が一番つらいようだ。
   柑橘類は地中海性気候が適している。地中海性気候だけは世界のどこにあるか習ったことをきちんと覚えている。欧州の地中海周辺、カリフォルニアのこのあたりの地域、南アフリカの一部、オーストラリアの一部。柑橘類が育ちやすい気候のイメージが気に入って、ここだけはきちんと覚えている。


カリフォルニアのワイナリー(ソノマ・ナパ)…2007年秋~冬(その4)2015/06/09 09:45

ジャネット・デイリー著者、矢倉尚子訳
『愛は危ないワインの香り』
集英社文庫、1998年

   禁酒法時代に教会用ワインをつくって生きのびたという話も作りごとだ。


   ベンジンガーの創設者である新婚夫婦がこの地に住みついたのが1970年だそうだ。当時は未開の地だったと思われる。ワイナリーは見事に発展していく。アメリカンドリームという言葉がふさわしい成功ぶりだ。全部が全部成功するわけではないから、失敗したワイナリーもあるかもしれない。今では4代目も生まれているとか。家族や友人を中心とした経営だから構成員の絆も強いようだ。


カリフォルニアのワイナリー(ソノマ・ナパ)…2007年秋~冬(その5)2015/06/11 10:22

ジャネット・デイリー著者、矢倉尚子訳
『愛は危ないワインの香り』
集英社文庫、1998年

   毎年同じ木で実ったぶどうから同じようにワインを造っても、性格も品質もまったく変わってしまう。


   この訪問の前の年、2006年にすべてのベンジンガーのワインが”持続可能、有機、バイオダイナミック”の認定を受けているとのこと。単に、見た目や味だけではなく、こういう点でも努力がなされている。
   カリフォルニアは環境の規制が厳しく、ある意味ビジネスをやるのも大変なのだが、優秀な人材が多く、社会的インフラも整っている。環境問題での意識が高い人も多いだけに、いろんな規制を乗り越えて、ビジネスを進めていく。


カリフォルニアのワイナリー(ソノマ・ナパ)…2007年秋~冬(その6)2015/06/13 08:37

ジャネット・デイリー著者、矢倉尚子訳
『愛は危ないワインの香り』
集英社文庫、1998年

   庭の向こうにはシャトーが荘厳にそびえたっている。


   ベンジンガーのような大きなものは勿論だが、ソノマ郡には400近くものワイナリーがあるとのこと。この地は起伏がけっこうあり、森や小山や川にも恵まれている。ちょっと車で走れば海岸にまでたどり着く。アメリカのほとんどの地域と同様、ここは車社会だ。車がないととても暮らしていけない。公共交通はほとんど発達していない。そこが都市部のサンフランシスコとは違う。


カリフォルニアのワイナリー(ソノマ・ナパ)…2007年秋~冬(その7)2015/06/16 09:42

ジャネット・デイリー著者、矢倉尚子訳
『愛は危ないワインの香り』
集英社文庫、1998年

   粒子の粗い写真が、サンフランシスコを襲った大地震でヴァレーが被害を受けたようすを映しだしている。


   色鮮やかな植物群の写真。ベンジンガーワイナリーではブドウだけではなく、他の野菜なども栽培されているようだ。ブロッコリーは定評があるらしい。勿論、有機農法が採用され、環境との調和には重点が置かれている。ここは山が間近にあり、その影響を受けてか土壌の質も良いらしい。気候は勿論だが、土壌もブドウ栽培にとって重要な要件となるようだ。ここでは、赤と白の両方のワインをつくっている。


カリフォルニアのワイナリー(ソノマ・ナパ)…2007年秋~冬(その8)2015/06/18 09:53

ジャネット・デイリー著者、矢倉尚子訳
『愛は危ないワインの香り』
集英社文庫、1998年

「ワインセラーでインタビューの続きを撮りたいのですって」キャサリンが説明した。


   ちょうど紅葉の時期にもあたったので、ブドウ畑も赤く色づいて美しい。マイク・ベンジンガーは最初は牧場用にこの地を買ったようだ。このあたり牛も見かけるが、そんなに多くの数はいない。畜産・酪農の本拠地という感じではない。ブドウ畑での害虫退治には薬物が使われるのが普通だが、ここでは植物、昆虫などを利用しているという説明を聞いた。


カリフォルニアのワイナリー(ソノマ・ナパ)…2007年秋~冬(その9)2015/06/20 06:29

ジャネット・デイリー著者、矢倉尚子訳
『愛は危ないワインの香り』
集英社文庫、1998年

   何度も足をとめては目をこらし、醸造所の前庭の防犯灯が見えないかと探した。


   ワインの入った樽がある。説明の際に、誰かが赤ワインと白ワインの違いを聞いていたが、英語がはやくてちょっと聴き取れなかった。後から知ったことだが、ブドウの種類も違うが、白ワインは皮や種を除いてつくるそうだ。逆に、赤ワインは皮や種も一緒のままでつくられるとか。だから赤ワインはちょっと渋みがあったり、重たい感じがするのだろう。



カリフォルニアのワイナリー(ソノマ・ナパ)…2007年秋~冬(その10)2015/06/23 09:02

ジャネット・デイリー著者、矢倉尚子訳
『愛は危ないワインの香り』
集英社文庫、1998年

「俺は無実だとそいつに言ってくれ。ワインなんだ。俺があそこに行ったわけはな。誓って殺しちゃいない。頼むから信じてくれ」


   ベンジンガーワイナリーでつくられているワインである。ここでは赤ワインの種類が圧倒的に多いようだ。見学ツアーでは試飲というかちょい飲みをさせてもらえる。美しい自然に囲まれたブドウ畑を見た後、グラスにつがれたワインを飲むのは乙なものだ。
   右側がカベルネ・ソーヴィニヨンで赤ワイン、左側がソーヴィニヨン・ブランで白ワイン。こういうワインをテイスティングできる。アルコールはあまり飲めない方なので、これだけで十分である。料理と一緒ではないから、よけいきつく感じる。このボトルの表示からすると、赤ワインは3年くらい経ったもの。