ラスベガスのイルカとトラ…1996年夏2011/11/18 22:39

イソップ著、中務哲郎訳
『イソップ寓話集』
岩波文庫、1999年

113 鮪と海豚
 鮪が海豚に追われ、水音高く逃げまどっていたが、今にも捕まりそうになって、余りに強く跳ねすぎたため、うっかり浜に乗り上げてしまった。しかし海豚も、同じ勢いで突き進んで来たので、一緒になって陸へ飛び出した。鮪はこれを見ると、息も絶えだえの海豚に向きなおって言うには、
「これではもう死んでも辛くない。俺の死の原因になった奴も一緒に死んでいくのを見とどけたぞ」
 自分の災いの原因となった者もまた不幸に陥るのを見る時、人はより耐えやすい、ということをこの話は説き明かしている。



 米国ネバダ州のラスベガスを訪問した。当時は、直行便もなかったので、サンフランシスコ経由でラスべガスに向かった。ギャンブル一色で、風紀の乱れたようなイメージが強いが、そんな街ではない。ラスベガスは大人も子供も楽しめる街。税金のあがりもいいので、警官も多く、治安もいい。そのラスベガスにはお客さんを喜ばせるための動物もいる。頭がよく、人間ともすぐ仲良しになれるイルカはどこでも人気者だ。それからトラもいた。


 ラスベガスといえば、ホワイトタイガーで有名だったが、わざわざ見ることはしなかった。特段のショーを見ることがなくても、ラスベガスはただ散策するだけで楽しい街だった。ただ、夏真っ盛りで、気温は40度近くあったと思う。気温だけではなく、日差しが強すぎて、昼間はとても眩しかった。そんな暑い街で、水に入ったイルカやトラを見ると、涼しい気分になれる。