ロンドン地下鉄(その5)…2008年夏2014/05/10 06:38

ベンソン・ボブリック著、日高敏・田村咲智訳
『世界地下鉄物語』
晶文社、1994年

 トンネル掘削はつねに軍事的な側面を持っていた。フランスの偉大なる築城学専門家、ヴァーバン侯爵は、一七〇〇年代に正確な手法を完成させた最初の人物かもしれないが、ヨシュアが角笛を吹き鳴らし、エリコの壁が崩れ落ちたときは、トンネル掘削はすでに一般的な軍事行動となっていたのは確かである。



   滞在していたホテルが地下鉄の駅にとても近かった。車社会の地方は別だが、日本でも大都市圏は駅に近いということが大きな価値を持つ。ホテルの近くにあるウェストブロンプトンの駅だ。ここを起点として、ロンドンめぐりをした。近くには通い詰めたパブもあるし、なかなか気に入ってしまった。ここに限らず、ロンドンにはいろんな人種、宗教の人がいる。
   もうちょっと離れていたが、アールズコートの駅も利用できた。そもそも泊まっているホテルに”アールズコート”という名前がついていた。アールズコート駅の方が周辺はにぎやかだった。

ロンドン地下鉄(その1)…1997年夏2014/05/01 15:47

海野弘編
『モダン都市文学Ⅸ 異国都市物語』
平凡社、1991年

喜多壮一郎<倫敦風景>
   「霧の倫敦」は現実の世界ではない。平凡化した倫敦は「霧の世界」となってはじめてその真姿を現す。「霧の倫敦」こそ限界から線と角とをとり去った影絵の倫敦となる。それは、魑魅魍魎の乱舞する非人間的の舞台だ。


    ロンドンの地下鉄も便利だ。ヒースロー空港にも乗り入れている。97年にロンドンをはじめて訪問した際は、地下鉄で都心に乗り入れた。海外に行った際に、空港から街中やホテルまでの移動が鍵となる。その点、ロンドンは地下鉄のおかげで、移動の手段をあれこれ考えなくてもすむ。
   ただ、あまりにも早い到着で、ほとんど始発に近い電車だった。朝早くピカデリーサーカスに着いたが、どの店も開いておらず、途方にくれてしまった。しかも香港経由(暑い中を観光までしてきた)だったので、疲れは相当なものだった。

大英博物館…1997年夏2013/06/14 23:21

ルパート・ブルック、「兵士」
平井正穂編、『イギリス名詩選』
1990 年、岩波文庫

もし僕が死んだら、これだけは忘れないでほしい、--
      それは、そこだけは永久にイギリスだという、ある一隅が異国の戦場にあるということだ。豊かな大地のその一隅には、
      さらに豊かな一握りの土が隠されているということだ。



  直行便がとれなくて、香港経由でロンドンにやってきた。ロンドンの最大の見所の一つ。大英博物館に行く。入場料はいくらか。箱の中にお金が入っている。ここに入れるのか。よく分からない。なんと入場料は無料。箱に入っているのは寄付金。
   エジプト関係の展示物も多い。メソポタミア、ローマ、インド関係のものも充実している。大英帝国は世界から宝物を手に入れた。この博物館はあまりにも広いので、気に入ったところを集中的に見る。それにしても、素晴らしいコレクションだ。

ロンドンでソーセージ…2008年夏2013/01/15 22:26

セドリック・ディケンズ著、石田敏行訳、石田洋子訳
『ディケンズとディナーを―ディケンズの小説中の食べもの散歩』
モーリス・カンパニー、1987年

   共有緑地の隣りのトゥールソン氏は太っていて陽気で、いつも私を歓迎してくれました。彼からは、肉を食べごろになるまで吊るしておくことや、大きな塊でのきり方や料理法など、肉に関することを教わりましたが、残念ながらそのほとんどを忘れてしまいました。彼はソーセージ製造機も持っていました。しかし、その持ち主をもソーセージにしてしまった、サム・ウェラーの「永久特許のソーセージ蒸気エンジン」(「ビックウィックイ遺文集」)ほどすぐれたものではありませんでした。



   ロンドンのアールズコートにあるパブに何回も通った。この日はソーセージを注文した。なかなかボリュームがある。マッシュポテトのつけ合わせもあるから、これでちょっとした夕食になる。けっこうお腹が膨れる。注文した黒ビールにはよく合う。
  パブの中でも一番ゆったりした場所に座って、緑に囲まれたテーブルで食べるソーセージはおいしかった。パブの敷地には木が植えてあって、夕涼みするには最高の環境だった。ロンドンを訪問した後はエジンバラにも行く予定なので、あわただしい日程だったことは事実だが。

エジンバラ大学でガモンサンド(その2)…2008年夏2013/01/11 16:42

セドリック・ディケンズ著、石田敏行訳、石田洋子訳
『ディケンズとディナーを―ディケンズの小説中の食べもの散歩』
モーリス・カンパニー、1987年

   少々無分別ながら、プロテスタントの布教活動に献身しているヴァーデン夫人は、熱中のあまりこれからの生活に不安を感じ、寝室で質素な食事をとりました。しかし、食事の内容はおだやかな食欲を満たすためには十分に実質的で、バランスのとれたものでした。
「濃くて強いお茶をポットに1杯、バタートースト2枚、並の大きさのビーフとスライスハム、そして8ッ折版2巻本の『プロテスタントの心得』」(「バーナビー・ラッジ」)


 
   エジンバラ大学のキャンパスにあるパーラーに入った。前回は中身を見てない写真を紹介した。今回はその中身の写っている写真。パンを開くとこうなっていた。長い間バスに乗って、遠回りでエジンバラ市内を巡ってしまったので、ゆっくり腰掛けて食べるサンドがひときわおいしく感じられる。
   夏休みのせいだろうか、学生はあまり見かけない。ここは理工系の建物が中心なので、大学生協で売られている書物などもその関連のものが多い。ガモンサンドはまあまあいけた。海外に行くとどうしてもコーラーを多く飲んでしまう。

エジンバラ大学でガモンサンド(その1)…2008年夏2013/01/08 20:07

セドリック・ディケンズ著、石田敏行訳、石田洋子訳
『ディケンズとディナーを―ディケンズの小説中の食べもの散歩』
モーリス・カンパニー、1987年

   債務者用の監獄でのお茶の場面の描写は2回あります。ドリット氏が年とった恩給生活者に「ティーケーキと新鮮なバターと卵とコールドハムと小エビ」を出した場面です。もう一つはジョン・チバリーがアーサー・クレナムのために「バターのキャベツ包み、薄切りゆでハムのキャベツ包み、クレソンとハーブサラダの盛り合わせ」(「リトル・ドリット」)を出した場面です。



   スコットランドではやたらガモンという名前のついた料理がでてくる。がんもどき?鴨?そんなはずはない。どうやら塩豚のハムことらしい。エジンバラ大学のキャンパス。ここは理工系の建物が多いところ。
   大学のパーラーでガモンサンドなるものを食べる。コールスローサラダがたっぷり入っていた。英国での料理はアメリカほどビッグじゃない。この写真はサンドイッチの中味を開けずに、外から見たもの。

エジンバラでガモンハンバーガー…2008年夏2013/01/04 07:46

セドリック・ディケンズ著、石田敏行訳、石田洋子訳
『ディケンズとディナーを―ディケンズの小説中の食べもの散歩』
モーリス・カンパニー、1987年

   スコットランド出身の善良なる友人は、月の名に"r"がつくまでハギスを食べるのはよした方が良いと教えてくれました。私は独自にハギスの唯一の食べ方を発見しました。スープ皿に四分のスコッチウィスキーをみたし、そのウィスキーだけを飲んだらハギスを捨ててしまうことです。信じられないですって。ええ、そりゃ無論私はハギスなんかより、スコッチの方が好きですから。



   エジンバラのパブではガモンハンバーガーを食べた。エジンバラで過ごす最後の夜だった。フィッシュ・アンド・チップスにしようか迷ったが。イングランドではフィッシュ・アンド・チップスをけっ こう食べていたので、こちらにした。まあまあいける。考えてみたら、ガモンサンドを直前に食べていたので、ほかのにすれば良かったかな。

ロンドンでフィッシュ・アンド・チップス…2008年夏2013/01/02 16:48

セドリック・ディケンズ著、石田敏行訳、石田洋子訳
『ディケンズとディナーを―ディケンズの小説中の食べもの散歩』
モーリス・カンパニー、1987年

   1837年のある日、初めて世界中に響き渡った、オリバー・トゥイストのこの不滅の言葉ほど、この本のしめくくりにふさわしい言葉はありません!

「『お願いです、ぼく、もっと欲しいんです』」



   こちらはロンドンのパブ。よく入ったアールズコートのパブ。注文したのはフィッシュ・アンド・チップス。このように、さらにグリーンピースがつくことも多い。こちらもなかなかいける。味は悪くない。パブは席によって値段が違ってくる。風を浴びながら味わうフィッシュ・アンド・チップスは最高だ。屋外のテーブル席に陣取ったので値段はちょっぴり高くなる。ゆっくりと過ごすロンドンの夜は最高だ。真夏でも快適な気候だし。

オックスフォードでフィッシュ・アンド・チップス…2008年夏2012/12/28 18:42

アンヌ・マルティネッティ著、フランソワ・リヴィエール著、フィリップ・アッセ写真、大西愛子訳
『アガサ・クリスティーの晩餐会―ミステリの女王が愛した料理』
早川書房、2006年

   ペニファザー牧師の家政婦マクレイ夫人は、今晩の牧師の帰宅にそなえてドーバー・カレイを一尾買いこんでおいた。(中略)牧師の帰宅の準備はととのっていた。ドーバー・カレイはのあとにはパンケーキが出ることになっている。万事準備完了だった。真鍮器具は光り、銀器も輝き、毛筋ほどのほこりひとつもなかった。ただひとつだけ足りないものがある。ペニファザー牧師その人である。(『バートラム・ホテルにて』、乾信一郎訳)


   大学都市オックスフォードにやってきた。お昼を食べることにした。フィッシュ・アンド・チップス。英国の代表的な庶民料理である。白身魚を揚げたものとポテトがセット。まさにその名の通りの料理だ。これはここオックスフォードで食べたフィッシュ・アンド・チップス。飲みものはコーラにした。
   かなり上品なつくりだ。庶民が食べるものとはちょっと違うかも。サラダも少しついている。油も悪くなく、胃にもたれることもない。英国の国旗がついて、日本のお子様ランチみたいだ。ロンドンのパブで食べたものよりおいしかった。あっちこっちと名所を見て、歩き疲れたので、腰をおろしてゆっくり食事をした。満足できるランチだった。

アールズコートで朝食…2008年夏2012/12/25 19:57

アンヌ・マルティネッティ著、フランソワ・リヴィエール著、フィリップ・アッセ写真、大西愛子訳
『アガサ・クリスティーの晩餐会―ミステリの女王が愛した料理』
早川書房、2006年

   ポアロは、コーヒーとパンの朝食でないと気がすまなかった。私が卵とベーコンの朝食をとったりするのを見ると、ひとごとながら気になってしようがないというのが、ポアロの口ぐせだった。ま、そんな次第で、ポアロはベッドでコーヒーとロールパンの朝食をとり、私はのんびりとベーコンと卵とマーマレードの伝統的なイギリス人の朝食を食べて、一日をはじめることにしていた。(『邪悪の家』、田村隆一訳)



   ロンドンにあるアールズコートのホテルで朝食。いつでもチップを気にしないといけないアメリカよりは気楽に朝食がとれる。エジンバラのグラスマーケットホテルよりは格が上だ。シャワーだけではなく、バスタブがついていた。大きな規模のホテルだ。3つ星クラスだろうか。それでも、ポンド高、物価高、夏休みで料金は決して安くはない。サーチャージだけでも9万円も追加負担したし。いずれにしても、アールズコートは場所も便利で、観光の起点としても最高だ。
   ホテルで朝食を食べる。 とても質素なメニューだがかえってこれくらいの方がありがたい。朝から豪華なバイキングの食事をしてしまうと、昼や夜に食欲がなくなってしまうからだ。到着間近に比べると、時差ボケもなくなって、食事も楽しめる。ホテルは地下鉄の駅にも近く、どこに出かけるにも都合が良かった。地下鉄の駅はウェストブロンプトンが一番近いが、アールズコートの駅も徒歩圏内だ。