グム百貨店(その2)…1980年夏2010/10/19 20:31

マーティン・クルーズ・スミス著、中野 圭二訳
 『ゴーリキー・パーク(下)』
2008年、ハヤカワ文庫

 国営百貨店グムの楽器売場は大事な部門だった。政府が定めるそれぞれの価格の意味に、若い純な魂が正しく反応するように、そこは瞑想的な雰囲気につつまれていた。ヴァイオリンと弓がセットでたったの二十ルーブルで、それには是認の意味が含まれ、ぴかぴかのサキソフォンはなんと四百八十ルーブル、誰もがおいそれと手が出せないようにという配慮が働いている。



 今回は外から見た外からグム百貨店の写真を紹介する。赤の広場のすぐ近くにあり、観光客が訪れるのにも便利だ。この界隈にある建物はすべて大きくて、圧倒される。ろくな物は売っていないが、外から見た姿は壮大だった。モスクワだけでなく、ソ連各地にもグム百貨店という名の店がたくさんあったようだ。最初にモスクワに入って、レニングラードに長めに滞在し、またモスクワに戻ってくるという旅程だったが、モスクワは何もかもが大きくて、ついていけないところもあった。