ザンベジ川のカバ…2004年夏(現地は冬)2011/09/02 21:37

デイヴィッド・リヴィングストン著、菅原清治訳
『世界探検全集8 アフリカ探検記』
河出書房新社、1977年

  チョベ河とザンベジ河との間の流域は、時おり水浸しになっていて、チョベ河の近くか、あるいは両岸には、ところどころに大きな沼地がある。



  ジンバブエのビクトリア滝に着いて、すぐにザンベジ川のクルーズに出かける。象に遭遇したり、美しい夕陽を見たりと、自然の雄大さを十分味わうことができた。このザンベジ川の両岸は森林が生い茂っていたので、象やカバが陸地で行動している様子はよくわからない。


  しかし、川の中にもぐっているカバはけっこう多いようで、顔の上部を見ることができた。静かな川面にカバの目や耳が見える。ユーモラスでほのぼのとした光景だ。


チョベ国立公園のカバ(その1)…2004年夏(現地は冬)2011/09/07 20:37

デイヴィッド・リヴィングストン著、菅原清治訳
『世界探検全集8 アフリカ探検記』
河出書房新社、1977年

     チョベ河には、河馬が多くすんでいる。通例、河馬は人間が近づいていくと逃げてしまうので、危険なのは河馬達が群をなして眠っている真只中にカヌーをのり入れて、河馬達のあるものが驚き恐れて舟を打つ時なのである。



    ボツワナのチョベ国立公園のガイドは紳士的で、彼らの話す英語は洗練されている。アフリカ南部は英語が普及しているので、旅行しやすい。英国の植民地だったことが関係している。ガイドの解説も的を得ている。こうした国立公園で働いている人はちょっとしたエリートなのだろう。


 さて、ガイドはカバという動物がいかに恐ろしいかを力説する。象やライオンが怖いという話はせず、カバの凄さばかりが強調される。ボートの操縦も慎重で、カバをいたずらに刺激しないように配慮がなされる。のんびりと過ごしているカバを見ると、そんな印象はないが、地元の人がここまでいうからには真実なのだろう。


チョベ国立公園のカバ(その2)…2004年夏(現地は冬)2011/09/09 20:50

デイヴィッド・リヴィングストン著、菅原清治訳
『世界探検全集8 アフリカ探検記』
河出書房新社、1977年

    この獣はカヌーをこわすと、いつも水の上に人々の姿を探し求め、誰もいないと、間もなく去ってしまうからとのことだった。私は水にもぐることのできない人達が脚にいくつか深傷を負うているのを見た。河馬は自分の歯を敵を襲う武器として用いるが、全く草食動物なのである。


 
 カバは水の中にいたり、陸上を歩いたりと、あっちこっちで見られるので、変化があって面白い。陸地をノッシノッシと歩くカバもかわいらしい。前回紹介したように、カバは実際にはかなり凶暴なのだが。カバと仲のいい鳥もいる。白い鳥と一緒にいるカバの姿を見ていると、心がなごむ。動物の間には天敵という関係もあるし、食うか食われるかの局面も多い。だから、こうやって異なる生き物が共生しているのは不思議な感じがする。鳥はカバにまとわりつく虫をとってあげたり、逆にカバは鳥を守ってやっているのだろうか。


チョベ国立公園のイノシシ…2004年夏(現地は冬)2011/09/13 21:31

イソップ著、中務哲郎訳
『イソップ寓話集』
岩波文庫、1999年

242 ハイエナ
 ハイエナは年ごとにその性質を変えて、牡になったり牝になったりすると言われている。ある時、牡のハイエナが牝に対していかがわしい振る舞いに及んだ。牝が答えて言うには、
 「どうぞおやりなさい。まもなくあなたが同じことをされる立場になるのです」
 自分が治める人々の責任を厳しく追及するが、一朝時あれば逆にその人々から責任を問われる役人たちのための話。
 
338 ライオンと猪
  低劣な争いや敵憮心は、結局は双方の身を危うくするので解消するのがよい、ということ。
 夏の日盛り、熱暑に喉も乾く頃、ライオンと猪が小さな泉に水を飲みに来て、どちらが先に飲むかで争いになった。そこから昂じて殺し合いにまでなりかけたが、 一息つこうとしてふと振り返ると、先に倒れた奴を食ってやろうと禿鷲が待ちうけているのが見えた。そこで両者は敵意を解いて言うには、
「禿鷲や鳥の餌食になるより、二人が友だちになる方が良い」

 
 
   遠くには、何やら得体のしれない動物が。ハイエナだろうか。最初はそう思った。もともと夜行性なので、夜に活発に行動するが、昼までも見られないことはないらしい。だから、ハイエナでもおかしくないと思った。子象がハゲワシに食われている写真を紹介したが、このハイエナも自分で獲物をとらずに、横取りするのが得意。ハイエナについてはあまりいいイメージはないが、当事者にとっては横取りして生きていくしかないから仕方ないことだろう。ハゲワシやハイエナが大好きって人もあまりいないだろう。
  だけど違っていた。どうやらイノシシのようだ。イノシシといえば日本にもいる動物なので、アジアに生息する動物かと思った。だから、アフリカとの結びつきが想像できなかったが、あっちこっちにも出没するようだ。ロッジの近くに来ることもあるらしい。動きが鈍いのか、ライオンに食われたりすることも多いようだ。残念ながら近くで見られなかったのだが、実際にはかなり可愛い生き物のようだ。
 いろいろな動物がいたが、写真に撮りにくいものもけっこういる。インパラというか、鹿の類はたくさんいたのだが、動きが速くて、うまく写真に収めることができなかった。幾つかの種類がいたが、写真に残っていないので、比較することもできない。イノシシも含めて、遠距離から見えた動物もいたが、時間に限りがあったし、むしろ見ることができなかった、写真に撮れなかった堂粒の方が遥かに多いだろう。時間や場所によって、動物の活動する場面が違ってくるし、季節によっても異なるだろう。南半球なので季節は冬だし、朝方はめちゃくちゃ寒かったので、姿を現さない動物も少なくなかっただろう。

チョベ国立公園のワニ(その2)…2004年夏(現地は冬)2011/09/16 20:37

イソップ著、中務哲郎訳
『イソップ寓話集』
岩波文庫、1999年

412  川と海
 川たちが一同に会して、海を非難して、
「我々は海の水に入ってくる時、おいしく飲める水なのに、どうして塩辛くて飲めないものに変えるのか」と言うと、海は皆が自分を責めているのを見てとって、答えるには、
「入って来なさるな。そうすれば塩辛くもならぬだろう」
 人に見当違いの非難を浴びせるが、かえってその人たちから裨益を受けている人を、この話は表している。


 チョベ国立公園に小さなワニがいた。ちょっと前のブログで大きなワニは既に紹介したが、これは子供だろうか。本当は、この川には多くの魚がいるかもしれない。そんなところは見ることはできない。鳥もたくさんいたが、種類はわからない。昆虫だって、いろんな種類がいるだろう。人間が見て面白い生き物ばかりが注目されるが、それにしてもチョベ川の豊かなことといったら。やはり小さいワニも動かない。ワニがおそろしいイメージを与えるのは、普段はじっとしているのに獲物を襲う時は急に動き出すことも関係しているのだろう。爬虫類は変温動物だから、哺乳類や鳥類のように体温が一定しているわけではない。その分、あまりエネルギーを消費しないから、食べるものも少なくて済むらしい。


サンディエゴ動物園のキリン…1983年夏2011/09/20 23:52

ジョン・ラング著、浅倉久志訳
『サン・ディエゴに十二時間』
早川書房、1976年

  グレーブズは、サン・ディエゴがあまり好きではなかった。海軍の注文が幅をきかせた実利一点ばりの町で、しかも海軍ががっちり保守的な統制をしいている。この町では、歓楽までが退屈だ。


  カリフォルニア州のクレアモントで研修を受けている時、クレアモント研究所の人にサンディエゴ動物園に連れて行ってもらった。サンディエゴはメキシコ国境にも近い街だ。海軍の基地もあり、軍人も動物園で楽しんでいる。この動物園は世界的な規模を誇るらしく、ゆったりとした園内で多くの動物を見ることができる。これは鹿の仲間。ダチョウもいる。


 キリンも動物園の定番だ。ちょっとした日本の動物園にもキリンはいるが、珍しい動物もたくさんいるようだ。じっくり見ようとすると丸一日はかかってしまうようだ。世界中の誰でも、大人でも子供でも楽しめる。

サンディエゴ動物園のコアラ…1983年夏2011/09/23 09:06

ジョン・ラング著、浅倉久志訳
『サン・ディエゴに十二時間』
早川書房、1976年

「きみはなにを知っているんだ?」
「きょうサン・ディエゴを出なくちゃいけないってことだけだ。なぜって……なにかが起こるから」
「どうしてそれを知ってる?」



 サンディエゴ動物園でコアラを見る。当時は日本でもパンダ、コアラが大人気だったから、コアラを見られたのは嬉しかった。このアメリカ研修では日本に加え、アジア、オセアニア諸国の人たちが参加していた。オーストラリアから来た人もいたが、彼らにとっては珍しいものではないだろう。何しろこの動物園はとても広いので、見ていて爽快な気分になる。上野動物園のように集積された土地にいろんな動物がいると見るのは楽だが。アメリカは動物園に限らず、美術館なども広く、観光するにはゆったりとしたペースが適している。


ベルリン動物園のパンダ…2001年夏2011/09/28 00:16

遠藤秀紀著
『パンダの死体はよみがえる』
ちくま新書、2005年

  四半世紀を経た1995年、私は思わぬかたちで上野動物園のジャイアントパンダとの再会を果たす。時は移ろい、私は博物館に生きる解剖学者。一方のパンダは、カンカン・ランランを引き継ぐ第二世代の雄、フェイフェイであった。勘のいい読者はすでに思い至っているかもしれないが、解剖学者私の元へフェイフェイがやってくるということは、彼が死を迎えていることを意味する。


 ベルリンを観光する。天気もよく、さわやかな北国の夏を味わうことができた。ベルリンの動物園公園駅はちょっと治安が悪く、麻薬中毒患者なども多いので気をつけるようにとガイドブックに書いてあった。朝と夜はちょっと危ないようだ。昼間の時間帯なので特に問題はないようだ。わざわざベルリンまで来て、動物園に来る必要もなかったが、ふらふらと入ってしまった。この動物園を歩いていると、ロシア語を話す若い観光客がいた。ソ連時代には、西ベルリン地域にロシア人が観光にやってくるなんて考えられなかった。とても豊かそうな感じである。それはさておき、ベルリンの動物園でパンダを見た。どっしりと座って、餌を食べている。貫禄十分だ。


サンディエゴ動物園の白クマ…1983年夏2011/09/30 20:37

岩合光昭著
『極北の大地から--ホッキョクグマを撮る--』
日本放送出版協会、2003年
 
 カメラを少し後方へと下げる。クマはカメラに鼻先をぶつける勢いだ。ファインダーをのぞくと、超ドアップのホッキョクグマの顔があった。こんなに近づいたのははじめてだ。目と目が合い、僕は驚く。クマは、おまえを食いたいという目をしていた。おまえなんかに喰われたくないよと思った瞬間、僕は恐いと感じた。三○年間野生動物を撮ってきて、一度も恐い思いはしなかったのに。ホッキョクグマがはじめてだった。



 サンディエゴ動物園で白クマを見た。ここは地中海性気候で日中や日のあたる場所はとても暑くなるが、夜や日陰は涼しくなるので、白クマも日本の動物園にいるよりは快適だろうか。この動物園は大きな公園の中にあり、動物園だけでも世界最大級というから公園全体の大きさはもっと壮大なスケールだといえる。


 普通、海外まで行って、わざわざ動物園というのは定番ではないが、このサンディエゴ動物園は観光コースの主要メニューに入れてもおかしくはない。クレアモントという小さな街に滞在していたが、その近くにはロスアンジェルス、サンディエゴがあり、研修の合間をぬって、いろんなところに連れて行ってもらい、楽しい思いをした。


   園内を走っているバスは広い敷地を効率的に回ってくれる。動物園は大人でも子供でも楽しめる場所だ。 それに現地の言葉がわからなくても過ごせるから、我々も含めて外国から参加している研修生にとっても快適だ。


 案内する方も細かい説明は要らないから、ほっとできるかもしれない。日本も含めて、アジア、太平洋地域から来て、クレアモントで研修を受けていたメンバーは満足げだ。いろんな動物を見て、楽しむことができた。