キーロフ劇場のオネーギン(その1)…1980年夏2012/09/11 20:13

『筑摩世界文學体系 30  プーシキン   ツルゲーネフ』
金子幸彦訳者代表、
1972年、筑摩書房

<プーシキン著、『エヴゲーニイ・オネーギン』>
 言うまでもなく、ターニャの心の乱れに気づいた者は、エヴゲーニイひとりではなかったが、ちょうどそのとき、油っこいピローグがみんなの注視と批評の的になっていた(あいにくと、塩が利きすぎていたようだ)。やがて焼き肉と白ゼリーのあいまには、樹脂塗りのびんにはいったツィムリャーンスコのシャンパンが運ばれた。それに続いて、ジジーよ、君の細腰さながらの、くびれた、細長いワイン・グラスがならべられた。



  レニングラード(サンクトペテルブルグ)のキーロフ劇場。有名なオペラやバレエが公演されてきた世界的にも由緒ある劇場である。現在はマリインスキー劇場という名前になっている。ソ連時代に入っても、帝政ロシア時代の文化的遺産は引き継がれていた。この劇場で『エフゲニー・オネーギン』のオペラを観ることになった。プーシキンの原作をもとに、チャイコフスキーが作曲したオペラである。