ロンドン地下鉄(その2)…1997年夏2014/05/03 07:00

ロアルド・ダール編、乾信一郎他訳
『ロアルド・ダールの幽霊物語』
ハヤカワ・ミステリ文庫、1988年

E・F・ベンスン「地下鉄にて」 
   ドーバー街駅のプラットホームでサウス・ケンジントン行の最終電車を待っていたヘンリー・ペイル卿は、駅へ進入して来た電車の前に身を投げた。電車は数ヤード走って止まったが、すでに車輪が卿の胸部の上を通過していて押しつぶし、即死だった。



   ロンドンは地下鉄で巡る。大きな駅なら、地下鉄だけでなく、通常の列車も乗り入れている。パディントン駅なら、多くの地下鉄の路線が乗り入れているし、近郊と結ぶ旅客列車などの発着地点にもなっている。帰りも地下鉄で空港に出たが、なんと途中で止まってしまった。
   いつも空港へはかなり余裕をもって行っているので、待つことにした。余裕のない人はタクシー乗り場へと走り出した。海外旅行をする際は、ギリギリのスケジュールは立てないことがポイントだ。しばらくすると地下鉄は再開した。空港へは十分間に合った。
   日本の地下鉄に比べると、ちょっと不安定な面がある。ローマでも地下鉄が止まったことを書いたが、地下鉄を含む日本の鉄道のスケジュールの正確さは奇跡的だ。その分、関係者が苦労していることの裏返しでもある。