シャルジャのショッピングセンター…2006年夏2010/11/05 20:08

イネア・ブシュナク編、久保儀明訳
『アラブの民話』
1995年、青土社

「娘の服を着た少年」
 そこで、父親は、絹の腰帯、ふさ飾りのついたスカーフ、頭に巻く木綿の布、裾が踝まで垂れているゆったりした服など、娘が必要とするあれこれのものを息子に買い与えました。鮮やかな色の縫い取りのある腰紐、一対の腕輪、指輪、黄色い革靴など、ちょっとした装身具も用意しました。母親は、フサームの前髪を眉に合わせて切り揃えると、後髪を三つ編みに結って黒い絹のリボンをつけ、できるだけ娘らしく見えるようにしました。



 ここはドバイ近郊のシャルジャにあるショッピングセンター。セントラルマーケットという名前だ。ドバイとは別の首長国で、イスラムの戒律はもっと厳格だという。外から見た概観はとて立派だ。なかなかエキゾチックで、魅力的な建物だ。


 中もそれなりにきれいだが、人が少ない。ドバイのショッピングセンターに比べると閑散としている。日本のさびれた商店街のようなオーラが漂っている。まあ、それでものんびりとウィンドウショッピングをするにはいいのかなと思う。


 ところが、物売りがやたらしつこい。ドバイだと静かにお店を見ていられるが、すぐに店員がやって来て、なんだか落ち着かない。お客さんが少ないだけに、あせっているのか。それともそういう文化なのか。戒律が厳しい首長国では却ってこうなってしまうのか。店員は現地の人というよりは出稼ぎの人が多い感じ。


 これは女性用の衣裳。アバヤ。アバヤにもいろんな種類がある。どこまで隠すのか程度が違ってくる。右と左の衣裳では顔を隠す度合いが異なっている。こうした違いは国とか地方によって違うのだろうか。下のほうにある顔だけのマネキンも不思議な印象を受ける。はっきりいって、ちょっとこわい。


ドバイのカフェ…2006年夏2010/04/23 22:49

 『コーラン(上)』
 井筒俊彦訳
 1957 年、岩波文庫

 これ信徒の者よ、断食も汝らの守らねばならぬ規律であるぞ、汝らより前の時代の人々と同じように。(この規律をよく守れば)きっとお前たちににも本当に神を畏れかしこむ気持ちが出来てこよう。



 ドバイの夏。とにかく暑い。行くところがなければ、ショッピングセンター巡りをすればいい。
 あっちこっちにカフェがある。白装束の男性の集団もカフェでくつろぐ。みんな滞在時間が長い。1時間経ったから、もういいかというノリではない。
 気温の高い日中は外に出る気も起こらない。2-3時間もずっと話し込んでいる人もいる。
 幸い、ラマダーン(断食)にはあたらなかった。この時期は、ショッピングセンターにあるレストラン、カフェも閉鎖になる。 
 ここはメルカートというビーチ地区にあるショッピングセンター。それほど大きくはないが、こぎれいなショッピングセンターである。この中でスターバックスが営業している。

キング・ファイサル・モスク…2006年夏2010/03/16 21:29

 イブン・バットゥータ著、前嶋信次訳
 『三大陸周遊記 抄』、
 2004年、中公文庫BIBLIO

  船頭達は、その卵を集めてゆでて食べ、次には親鳥をたくさんに捕え、喉を切って殺さずに、煮て食べ始めた。わたくしのそばにマスィーラ島の商人でムスリム という者がいて、水夫らとともに、その小鳥を食べているので、それはイスラム教徒にとって違法だとたしなめてやった。彼は恥じて「喉を切って殺したものと ばかり思っておりましたので……」と言い訳をしたが、それからわたくしを敬遠し、呼ばなければ来なくなってしまった。



 アラブ首長国連邦はその名の通り、連邦国家である。州、共和国から成る連邦ではなく、複数の首長国が構成員である。ドバイから車で30分くらい行ったところに、シャルジャ市がある。シャルジャ市はドバイとは別の首長国、すなわちシャルジャ首長国の首都である。
 ドバイに比較して、アルコールの制限も徹底している。観光客にも適用されるので、ホテルでもアルコールの提供はないようだ。

 
  このシャルジャ市にキング・ファイサル・モスクがある。そうしたシャルジャのモスクだから、自由に異教徒が観光や見学できるような施設ではない。
  アラブ首長国で最大のモスクであり、この首長国は戒律も厳格というから、一層おごそかな印象を受ける。

ジュメイラ・モスク…2006年夏2010/03/12 22:08

  井筒俊彦著
 『イスラーム文化―その根底にあるもの―』
 岩波文庫、1991年

 とにかく西洋文明をモデルにして近代化を進めようとすると、アウグスティヌスのいわゆる「神の国」と「地の国」とを事実上どうしても分離せざるを得ない。しかし、そうすることは、イスラーム本来の精神にもとることなのです。聖俗を分離することなしに、しかもイスラーム社会を科学技術的に近代化することが果たしてできるだろうか--それが現在すべてのイスラーム国家が直面している、いやでも直面せざるをえない、大問題なのです。



 イスラム圏への本格的な旅は初めてである。とはいっても、アラブ首長国連邦のドバイは9割近くが外国人というのだから、実態は異なるのかもしれない。
 夏のドバイの気温は40℃~50℃、湿度100%が普通。朝ホテルを出て散歩するが、流れ出る汗の量は半端ではなく、目に入って痛い。勢いで1時間近く歩いたが、衣服が汗浸しになってしまった。汗で衣服が信じられくらい重たくなっている。ホテルに戻って着替える。
 もうタクシー以外の移動は考えられない。目の前にあるショッピングセンターに行くのでさえ、横断歩道の信号がなかなか青にならないこともあって、タクシーに頼る。こんな暑い中、建設労働者は外で働いている。過酷そのものだ。
 翌年、アメリカに滞在している時、ホームパーティの席で「ドバイは楽しくて、いいとこだ」と言ったら、パキスタン系の人に「出稼ぎ労働者は悲惨な状態にある。日本政府に働きかけて、是正させろ」とお叱りを受けたこともある。
 猛暑であることと、イスラム教徒以外の見学は禁止、あるいは時間限定というモスクが大半なので、車の中から、あるいはちょっと外に出て眺める程度。ドバイのジュメイラ・モスク。ここは見学できるのだが、曜日と時間が限られている。ドバイ一美しいモスクとの定評もある。高級リゾートビーチ、高級住宅が集中する地区。二つの高い塔が天を貫く様は壮観だ。