奴隷慰霊碑…2007年秋~冬2010/07/13 22:14

フレデリック・ダグラス、「奴隷にとって七月四日とは何か? 1852.7.5」
荒このみ翻訳、『アメリカの黒人演説集--キング・マルコムX・モリスン他--』
2008 年、岩波文庫

 深く静かな真夜中の暗闇に、私の家の前を通る、死んだように重い足音や、鎖でつながれた一群の哀れな泣き声を聞いて、私はしばしば目を覚ましました。少年だった私の苦悶は大きかったのです。朝になると、私はそのことを女主人に話しました。すると女主人は、この習慣はとても悪いもので、鎖がガチャガチャ鳴る音や、心からの悲痛な叫び声を聞くのが辛いと言いました。私の恐怖と同じように感じてくれる人がいて、ホッとしました。



  ワシントンDC郊外のマウント・バーノン。ジョージ・ワシントンの私邸だが、大統領の官邸としての役割も果たした。ワシントン自身は大統領になってからも農業に従事したし、多くのお客さんを受け入れ、もてなした。
   しかし、こうした大掛かりな邸宅の運営を支えた影の存在がある。奴隷である。マウント・バーノンの敷地内に奴隷慰霊碑が立っている。ここを訪れた人は一瞬立ち止まる。多くの人が写真を撮っていく。慰霊碑は直接声を発することはない。しかし、この沈黙の中に重苦しいあまたの声が聞こえてきそうだ。