オックスフォードのクライストチャーチ(その2)…2008年夏2011/07/05 20:26

マシュー・スケルトン著、大久保寛訳
『エンデュミオンと叡智の書』
2008年、新潮文庫

 不意に、僕は、セオドリックの手に書かれているものの意味がわかった。セオドリックは写実生で、写本彩飾師だ。オックスフォードの修道院の学寮の一つに僕を連れてきたのだ。


 
 イギリスの有数の学園都市オックスフォードを巡る。 教育制度というのは国によってかなり異なる。ユニバーシティが総合大学、カレッジが単科大学という定義に納得してしまうが、英国の大学教育の仕組みはそう単純なものではないらしい。学生は両方に属するが、拠点となるのはカレッジだ。


 じっくり勉強するなら、こんな環境があって当然だろう。オックスフォードは自転車が多い街だ。クライストチャーチという一番有名なカレッジのキャンパスを歩く。日本にありがちなプレハブのような安っぽいキャンパスとは全然違う。宗教的な荘厳さも漂っている。


 クライストチャーチというと今年の2月地震で被害を受けたニュージーランドの都市も同じ名前だ。実際に、この大学から名前をつけたそうだ。日本語に訳せば、「キリスト教会」という平凡な響きもするが、大学がここまで威厳を持っていることが羨ましい。