レニングラード地下鉄(その1)…1980年夏2014/03/25 20:33

海野弘編
『モダン都市文学Ⅸ 異国都市物語』
平凡社、1991年

中条百合子「モスクワ印象記」
   或民俗の持つ風呂によって、彼らの気質の一部を観察できるものとすれば、ロシア風呂は独特だ。日本のように湯桶の中で水を沸かすのでもないし、沸かした湯を寒暖計で計りつつ注ぎ出す科学的方法でもない。室がある。一方の隅に胸位の高さまでの石がある。其は焼石だ。真赤な焼石だ。其焼石に、いきなり水をぶっかける。バッ!水蒸気が立つ。



   これはレニングラード(当時)の地下鉄の車両。やはりモスクワと並ぶ大都市だから、こちらも地下鉄がしっかり普及している。ちょっと野暮ったい感じだが、車両が相当古いのだろうか。
   東京でもかなり長い間一つの車両が使われていたことがあるので、これも第二次世界大戦中にも動いていた車両かもしれない。モスクワに比べると滞在日数がかなり長かったので、地下鉄をうまく使いこなせるようになった。

レニングラード地下鉄(その2)…1980年夏2014/03/27 20:49

海野弘編
『モダン都市文学Ⅸ 異国都市物語』
平凡社、1991年

中条百合子「モスクワ印象記」
   ロープシンは自殺しなければならなかった。政治的見地からすれば彼自身、不幸な最後を予想しないわけではなかっただろう。然、彼はロシアなしではもう生きて居られなかった。だから還って来た。そして死んだ



   この写真はとある地下鉄のホームから撮影したもの。「扉が閉まります」「次の駅は○○」とアナウンスしてくれるので、間違うこともない。現地で知り合った若いロシア人のアパートに遊びに行った時も地下鉄を利用した。
   そして、その駅名を今でもしっかり覚えている。Polytechnicheskaya(Политехническая)という駅である。 この駅は1975年12月31日に開通している。駅名は大学の名前から来ている。

パリ地下鉄(その1)…1998年夏2014/03/29 07:37

レーモン・クノー著、生田耕作訳
『地下鉄のザジ』
中公文庫、1974年
 
 ザジは眉をひそめる。不審顔。
「地下鉄?」繰り返す。「地下鉄?」蔑んだ顔つきでつけ加える。「地下鉄は、地面の下にあるのよ、地下鉄は。でたらめもいいとこね!」


 花の都パリの地下鉄。直行便が取れずに、シンガポール経由で来ただけに、パリにたどり着いた喜びも大きかった。しかも早朝に着いて、凱旋門から回ったのだが、エレベーターが休止中で疲れてしまった。スーツケースを持ったまま、階段であがったから。
   パリではなんでもセンスがいい。地下鉄も同様だ。これはホームの写真。やはり地下鉄で回るのが一番楽だ。