ニューヨークのクルーズ…1997年秋(その2)2014/10/28 21:19

佐野洋子著
『そうはいかない』
小学舘、2010年

〈ニューヨーク・ニューヨーク〉
   隣の若い男は、耳にピアスをつけ胸からはみ出した毛の中に十字架をぶらさげていた。こいつらも年をとるのだ。派手な人工毛皮を着た太ったおばあさんの二人連れが、よたよた入って来て亭主のうしろに座った。



   ニューヨークは夜に出歩くのが危険だから、こうしたナイトクルーズはちょうどいい。夜は出歩くなと現地の関係者からもアドバイスを受けていた。セントラルパークと接した歩道を歩く時もできるだけ車道に近い方を歩かないと、公園内から暴漢が現れるかもしれないと注意を受けていた。
   このクルーズは食事も出てくるし、夜景を楽しむことができるので最高の気分が味わえる。自由の女神は14年前に来た時に行ったが、ちょうど工事中で、見られるには見られたが、治療中のような姿だった。今回は昼間に自由の女神に行く時間はなかったが、こうやってナイトクルーズで見られただけで満足だった。