エカテリーナ宮殿(その4)…1980年夏2012/03/17 01:04

井上靖著
『おろしや国酔夢譚』
1974年、文春文庫

「十二人でございます」
光太夫が答えると、
「オオ、ジャルコ」
と低く女帝は口にして言った。



 ピョートル宮殿にも共通することだが、この宮殿も贅沢の限り尽くしたつくりとなっており、ふんだんに金が使われている。レニングラード(現在のサンクトペテルブルク)自身が金色のアクセントがついた眩い街であるが、このツァールスコエ・セローもそのミニコピーのように貴族趣味に満ちたものとなっている。
 最初モスクワに入って、後からレニングラードにやってきた時はモスクワの方がロシア的でいい街だと思った。しかし、レニングラードに長く滞在するにつれ、こっちの街の方が好きになってきた。レニングラード市民が口々に言うように、モスクワは緑が多いが、単なる田舎街という印象さえ持つようになってしまった。

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