モスクワでソーダ水…1980年夏2013/02/01 20:36

鈴木俊子著
『誰も書かなかったソ連』
1979年、文春文庫

   この食器店でも、大勢の客がイライラしながら、不快きわまる超満員の群集の中で待っているのに、二人の女店員は客のいらだつけわしい目を意識しながら、ふざけ合い、仕事をそっちのけで男友達の話に夢中になっている。また、しなくてもいい掃除をわざとていねいにやってみたいりているのに、不思議なのは、客からなにひとつ文句が出ないことだ。



   これもソ連時代のモスクワ。ソーダ水の自動販売機をよく利用した。日本のように精度の高い機械はないのだが、味わいがあってなかなか良かった。ソーダ水ではないが、ロシアにはクワスという飲み物もあって、その販売機もたまに利用した。ガラスのコップがあって、そこに入れて飲むことになる。コップを洗うための水は出るのだが、ちょろちょろとしか出ないので、きれいに洗うことができない。あまり衛生的ではなかったけど、もったいないから、しっかり飲んでしまった。
   やはり空気が乾燥しているので、飲みものはすぐ欲しくなる。夏なのに、もう長袖やコート姿の人を見かける。男性が着ているものを見ると、かなり野暮ったい。昔のロシアの小説に出てきてもいいような雰囲気だ。しかし、女性はなかなか綺麗な格好をしている。計画経済だが、女性のものは優先してデザインを良くしているのだろうか。材質では日本のものにかなわないだろうが。