サンフランシスコのバート…2007年秋~冬2014/06/17 20:37

海野弘編
『モダン都市文学Ⅸ 異国都市物語』
平凡社、1991年

雅川滉「ハリウッドまで」
   畑も果樹園も見捨てられた。故郷も、パパも、ママも瞬時に忘却されて行った。しかしそれがアイ子の機会の針路である。疲労などあってはならない。アイ子は用箋を拡げると、ジュリアへの手紙を書きはじめた。 
 


   カリフォルニア州のサンフランシスコ。多くの人が知っているように、ケーブルカーは街のシンボル。料金は高く、観光客用という感じ。そのほか、バスやトロリーバスなどの公共機関が発達している。空港も含めて、サンフランシスコ市街ではバートという鉄道が走っている。昼間は20分に1本くらいの運行だっただろうか。
   アメリカに住んでいる人に「本数が少ないね」と言ったら、「アメリカではこれだけの頻度で動いていたら立派なもんだ」と反論されてしまった。確かに、東京の地下鉄はひっきりなしに発着している。新幹線だって、東京と大阪の間などはすごい本数だ。ワイナリーのあるナパ・ソノマに行くために、空港からバスを使った。帰りは、バスに乗って空港にいったん行って、サンフランシスコの都心に戻るのにバートを利用した。