旗後天后宮…2007年夏2010/03/26 23:10

 司馬遼太郎著
 『街道をゆく40<新装版>台湾紀行』
 2009年、朝日文庫

   高雄は、街衢が整然として、札幌に似た街だった。四月五日の午後、家内と一緒に散歩をした。
   市内を大きな川が流れている。河岸が細長く公園になっていて、河口近くまで歩いていると、犬を散歩させている四十くらいの女性と、ふしぎな動物を抱いている五十くらいの男性にあった。



 台湾の高雄市。この時はまだ地下鉄もなく、徒歩かタクシーを中心に行動するしかなかった。ホテルからタクシーに乗って、鼓山フェリー乗り場へ。旗津という港に着く。わずか10分ほどの航行。
 目的地の旗後天后宮はすぐ見つかる。高雄最古の廟ということで、航海の守護身である媽祖が祀られているとのこと。
 何やら世俗的で、賑やかな雰囲気。いかにも道教の寺院という趣があり、庶民の生活信仰に根ざしていて、しっくりと馴染む印象。朝早い時間に出てきたので、人出はそれほど多くない。

龍山寺…1998年夏2010/03/19 21:46

  司馬遼太郎著
 『街道をゆく40<新装版>台湾紀行』
 2009年、朝日文庫

 台北の大繁昌をみると、たれもが思想家になる。ネオンの氾濫や車のひしめき、あるいは歩道の波立ちをみると、台湾の資本主義は少年のように元気にあふれている。いまのうちに、漢民族的資本主義のよきモデルを台湾でつくる必要があるのではないか。



 滞在していた台北のホテルから、タクシーで寺に向かう。このお寺はガジュマルにまつわる逸話がある。ある人が観音菩薩を持ってここにお参りし、ガジュマルの木にその像をぶら下げたところ、夜中に光を放ったという話。それにあやかって、寺が建立された
  やはり広東、台湾など気温の高い地域では、熱帯性の樹木が関わってくるのだろうか。後に紹介したいと思うが、広州の六榕寺もガジュマルと深い関係にある。宗教・新興に関する樹木は地域性と切り離せない。ブッダは菩提樹の下で悟りを得たというし、コーランにはナツメヤシという言葉が多く出てくる。


 龍山寺は福建省出身の人々によって建立された。台北市内では最古の寺院で、外国人も含めて多くの観光客が訪れる。多数の神様が祀られており、庶民生活に根差した信仰の拠点である。この界隈、蛇料理の店もあって、猥雑な雰囲気をかもし出しているが、入る気はおこらない。それに朝早くの拝観だったため、ほとんどの店はしまっていた。