ヘルシンキ--タリン間のフェリー航路(その23)…2013年夏2014/09/06 06:40

ケント・ハールステット著、中村みお訳
『死の海からの生還--エストニア号沈没、そして物語はつくられた--』
岩波書店、1996年

   この一〇年以上も前のそれが、僕が車や飛行機、船を含めて乗り物酔いした、たった一度の経験だ。そこでサウナで今の状態が何なのかという可能性の中に、船酔いが浮かばなかったわけだ。しかも、船が揺れ始めていることにはっきりと気づいていなかった。



   雲をじっくり見るのは久しぶりだ。考えたら、子どもの頃はぼんやりと雲を見ている時間がけっこうあったような気がする。大人になると、そんな時間もなくなる。飛行機に乗っていると雲を見る機会はあるが、こうやって船の甲板から見るのとは違う。窓も小さいし、飛行機そのものがすごいスピードで動いているから、こうやって雲が変化すること自体をゆっくり見ることにはならない。
   ぼんやりと甲板にいるのは心地よい。帰りの便だから余計、ゆるりとした気持ちになる。日も暮れてきたし、北国なのでそんなに暑くはなく、安心しきってしまうが、太陽光線の刺激がけっこう強い。気を付けないと紫外線をたくさん浴びてしまう。タリンでも紫外線がかなりきつい感じがした。