ヘルシンキ--タリン間のフェリー航路(その24)…2013年夏2014/09/09 19:34

ケント・ハールステット著、中村みお訳
『死の海からの生還--エストニア号沈没、そして物語はつくられた--』
岩波書店、1996年

   それにしても、どうして僕だけがこんなに気分が悪いのだろう。ロシア人のほうに目をやると、ご機嫌で食べたり飲んだりして騒いでいた。



   相変わらずのんびりと雲を眺めていた。航行時間は2時間だから、席に座ってなくても、あっちこっち行けばすぐ時間は経ってしまう。座るところはすぐうまってしまうが、カフェなどに行けば必ず座れるし、他にも椅子がたくさんある。雲は一瞬たりとも同じ形を保たず、少しずつ姿を変えていく。そして同時に移動もしている。
   当初心配していたような豪雨も雷雨もない。もっとも雨が降ってきても、この日はホテルに帰るだけだから、そんなに心配することもない。船は順調にバルト海を航行する。このペースでは予定通り、ヘルシンキ港に着くことになろう。すれ違う船もいろいろあって楽しい。