ヘルシンキ--タリン間のフェリー航路(その28)…2013年夏2014/09/18 20:12

ケント・ハールステット著、中村みお訳
『死の海からの生還--エストニア号沈没、そして物語はつくられた--』
岩波書店、1996年

「手伝ってくれる?協力してくれますか?」
「もちろん」と彼女。
「ケントって言うんだ。ケント・ハールステット」と挨拶の握手に手を差し出すと、彼女のほうも「私はサラ」と応じてくれた。



   夕陽が落ちていくのをずっと見ていた。帰りは、ほとんどの時間、雲と夕陽を見ていた。行きに比べると、船上からの景色を見ている人は減っている。周囲も暗くなってきたし。お酒を飲んで、ゆっくりしている人。タバコを吸って、のんびりしている人。そんな人たちが目立つ。北欧の街は、酒やタバコにあまり寛容ではないようだから、船の中ではハメをはずすのかもしれない。
   甲板にいる人がかなり少なくなってきた。航行時間があまり長くないので、レストランも比較的空いている。やはり船内の売店でハンバーガーなどを買って食べる人が多い。ヘルシンキにだんだん近づいていく。