ヘルシンキ--タリン間のフェリー航路(その30)…2013年夏2014/09/23 07:28

ケント・ハールステット著、中村みお訳
『死の海からの生還--エストニア号沈没、そして物語はつくられた--』
岩波書店、1996年

 とにかく、引き上げられて行くときの感触は最高だった。僕はその瞬間を少しでも心に刻み付けようとした。これからもずっと、救命ボートからヘリコプターに引き上げられたこの瞬間を、忘れたくはないと思ったからだ。どんな状況でも必ず救いはある、という「記念」として、いつまでも胸にしまっておきたかった。



   タリンではそんなに気温が高くなったが、体感温度は高かった。歩きだけで街を見たので、けっこう疲れてしまった。それでも涼しい風に当たって、甲板にいるのは気持ちがいい。だんだんとヘルシンキに近づくにつれて、静かな雰囲気になっていく。
   エストニアもフィンランドもユーロを使っているから、エストニアで両替をする必要はなかった。フィンランドはクレジットカードがアメリカ並みに普及しているようで、いざとなればカードという手もある。
   さて、夕陽が沈むようで、なかなか沈まない。けっこうじれったいものを感じる。ちょうど水平線に太陽が沈む瞬間を撮影したいが、それよりも前に入港してしまうかもしれない。